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25.12.19
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福島県生まれ、京都暮らし3年目のまだまだ新入り編集者。ガイドブックや情報誌の制作に携わりつつ、日々の取材で見つけた小さな発見を集めている。

神戸には、おいしいものや伝統の味がたくさんありますよね。なかでも灘の酒文化は外せない存在。お酒好きの私は、御影や岡本を歩くと、ついお酒にまつわるストーリーに目が向いてしまいます。そんな私の趣味がにじむ、酒どころゆかりの名物をテーマにした3つの問題をご用意しました。
神戸・灘といえば、日本酒造りの名所として知られ、酒づくりの歴史とともに独自の食文化も育まれてきました。老舗・高嶋酒類食品株式会社が手がける「モダンディッシュ in 神戸」は、そんな灘の酒粕を使った伝統の味とモダンなデザインが融合した人気シリーズです。
さて、このシリーズにも使われている、灘の酒粕で漬けた漬物とは次のうちどれでしょう?
A. 播州こうじや一夜こうじ漬
B. やたら漬け
C. 干し玉ねぎ漬
D.甲南漬け
×【A】播州こうじや一夜こうじ漬
兵庫県の播州地域で親しまれてきたこうじならではの自然な甘みと素朴な味わいが魅力の商品で、播州こうじやでは「一夜こうじ漬床(一夜漬けの素)」として販売されています。
家庭でさまざまな野菜を手軽に漬けられるのが特徴ですが、こちらは麹を使った漬床であり、灘の酒粕で仕上げる漬物とは別物です。
×【B】やたら漬け
「やたら漬け」は、「やたら野菜を使って、やたらおいしい」ことから名付けられた家庭的な漬物です。
地域によって作り方はさまざまで、兵庫県の郷土料理としても知られています。素朴で親しみやすい漬物ですが、灘の酒粕文化や神戸の粕漬けとは異なるルーツの料理です。
×【C】干し玉ねぎ漬
「干し玉ねぎ漬」は淡路島の名産・玉ねぎの旨みを凝縮させ、漬け込んで仕上げた特産品です。
玉ねぎの甘みと歯ざわりが際立つ人気商品ですが、酒粕を使った灘の漬物ではありません。淡路島ならではの風土を感じられる味わいで、地域の名物として親しまれています。
◯【D】甲南漬け
正解です。
「甲南漬け」は、灘の酒造文化とともに育まれた名産として親しまれる漬物で、酒どころならではの酒粕文化を受け継ぐ名品です。塩漬けにした野菜をさらに酒粕とみりん粕で漬け、豊かな香りとまろやかなコクを引き出しています。
明治時代に創業した髙嶋酒類食品株式会社では今も伝統製法を守り続けており、「モダンディッシュ in 神戸」で瓜、西瓜、胡瓜、きざみ漬の奈良漬けを少量ずつ色々楽しめるセットとして販売されています。粕漬けの奥深い魅力を堪能できる逸品です。
全国の酒蔵には、酒づくりへの姿勢や味わいの特徴を端的に表すキャッチコピーがあります。灘五郷の中でも「辛口の菊正宗」として知られる神戸・御影の蔵元にも、酒づくりの哲学が込められた言葉があります。
さて、次のうち「菊正宗」のキャッチコピーとして正しいものはどれでしょう?
A. 「宝は田から」
B. 「辛口は、生酛(きもと)で旨くなる」
C. 「醸は農なり」
D. 「いつもそばに置きたい酒」
×【A】「宝は田から」
「宝酒造」のキャッチフレーズ「宝は田から」は、自然の恵みである米づくりの大切さをうたった言葉です。豊穣な大地、太陽や雨といった田畑の恵みが良い酒の土台になる、という信念を示しています。
一方、菊正宗は“生酛造りの辛口”を特徴とする蔵で、このキャッチコピーとは関係がありません。
◯【B】「辛口は、生酛(きもと)で旨くなる」
正解です。
「辛口は、生酛(きもと)で旨くなる」は、神戸・御影の老舗「菊正宗」が掲げるキャッチコピーです。菊正宗は創業約360年、灘を代表する“生酛造りの酒蔵”として知られ、雑味のないキレの良い辛口と、米由来の深いうま味を両立させた酒質を追求してきました。
生酛造りは、江戸時代から続く伝統的な酒母づくりの製法で、自然の乳酸菌の働きを活かすため手間と時間がかかる一方、力強い味わいと奥行きを生む技法。菊正宗はこの製法を継承し続け、現在の主力商品にもその技術が息づいています。
キャッチコピーには、伝統へのこだわりと、辛口酒への誇りが凝縮されています。
×【C】「醸は農なり」
「醸は農なり」は、鳥取県の蔵元・日置桜(山根酒造場)が大切にしてきた言葉で、「酒づくりは農から始まる」という理念を表しています。
契約農家とともに酒米(さかまい)づくりから関わり、米の個性を生かした酒を追求する姿勢を表しています。菊正宗とは異なる蔵元の理念です。
×【D】「いつもそばに置きたい酒」
「いつもそばに置きたい酒」は、新潟県長岡市で創業470年以上の歴史を持つ老舗蔵・吉乃川が掲げてきたキャッチコピーです。地域の食卓に寄り添う“毎日の酒”をめざす思いを表したフレーズで、新潟清酒らしい淡麗な味わいを象徴しています。
こちらは新潟の蔵元のフレーズであり、菊正宗のキャッチコピーとは別のものです。
神戸・御影には、地元で長く愛される老舗菓子店「御菓子司 虎屋吉末」があります。看板商品のひとつ「樽形煎餅(たるがたせんべい)」は、その名の通りかわいらしい「たる」の形が特徴。実はこの形には、江戸時代に灘の酒を全国へ流通させた“ある船”がモチーフとして込められています。
さて、その“ある船”とはどれでしょう?
A. 樽廻船
B. 千石船
C. 北前船
D. 菱垣廻船
◯【A】樽廻船
正解です。
「樽形煎餅」のモチーフとなっているのは、江戸時代に灘の酒を全国へ運んだ「樽廻船(たるかいせん)」です。樽廻船は、清酒の入った大きな「酒樽」を積み込み、大坂から江戸へと運んだ船のこと。灘の酒が「下り酒」として広く親しまれるようになった背景には、この樽廻船の活躍がありました。
虎屋吉末の「樽形煎餅」は、こうした灘酒の歴史を象徴する「樽」の形をかたどり、香ばしく焼き上げた銘菓。煎餅の表面には樽の意匠が丁寧にあしらわれ、灘らしい手土産として親しまれてきました。昔ながらの製法で作られる素朴なお菓子です。
×【B】千石船
「千石船(せんごくぶね)」は、江戸時代に米や年貢などを大量に運ぶために使われた大型の和船の俗称で、1,000石ほどの積載量を持つことから呼ばれるようになりました。
物流面で重要な役割を果たしましたが、灘の酒を運ぶための船ではありません。樽形煎餅のモチーフとは違う名前の船です。
×【C】北前船
「北前船(きたまえぶね)」は、江戸から明治期にかけて日本海側を中心に活躍した商船で、北海道から大阪まで多様な物資を運び、日本の物流と文化交流を支えた存在です。
しかし、灘の酒を江戸へ運ぶ役割は担っておらず、「樽形煎餅」のモチーフにもなっていません。
×【D】菱垣廻船
「菱垣廻船(ひがきかいせん)」は、江戸時代に上方のさまざまな荷物を江戸へ運んでいた船です。酒も積まれていましたが、荷物が多く到着まで時間がかかることが多い船でした。
一方で、酒を“できるだけ早く”運ぶために生まれたのが酒専門の「樽廻船」。樽形煎餅のモチーフになったのは、この樽廻船の方です。
写真は(C)一般財団法人神戸観光局
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ライター
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福島県生まれ、京都暮らし3年目のまだまだ新入り編集者。のんびり屋で、思い立って出かける日もあれば家でだらだら過ごす日もある。 音楽が好きで、通勤やお家時間はだいたい何か流している。月に一度くらいの気分でライブハウスに行くのが楽しみ。ひとり旅も好きで、夏は伊根へ、最近は金沢へ出かけた。旅先の日本酒はつい買ってしまう癖があり、家では壬生菜のお漬物をつまみにのんびり飲んでいる。
2026.1.4 - 2026.1.10