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25.12.19
ライター しらはた
関西に暮らして15年以上。歴史・植物・猫が好き。これまで歴史系の情報誌や植物関連の情報誌をはじめ、観光情報誌や自治体広報物の編集・制作に携わってきた。

第1回で豊中・伊丹エリアの“推しスポット”を知ったお次は「名物」。散策や観光中にも、ぜひ楽しみたいポイントですよね。
今回は、廃校になった旧野田小学校に誕生した名物や、一度は味わいたい伊丹のお酒、名産の柑橘類についてのクイズを出題。豊中・伊丹エリアの名物についてクイズで学びつつ、 “推しの一品”を見つけてみましょう。
阪急宝塚線の庄内駅の近くに位置し、令和5(2023)年3月に廃校になった、豊中市の旧野田小学校。大切な思い出と歴史が詰まったこの校舎は、令和9(2027)年以降に解体される予定になっています。
その短い期間の中でも、実は校舎を利用してある「名物」が誕生しているのですが、それは何でしょう?
※令和7(2025)年11月時点の情報。
A. 廃校を利用した美術館
B. 校舎内で栽培されたキノコ
C. 校舎を利用した水族館
D. 校舎内で水耕栽培された春菊
×【A】廃校を利用した美術館
廃校そのものを美術館として再利用しているのは、福岡県朝倉市の「共星の里」。
旧黒川小学校の校舎の中で現代アートや企画展を鑑賞でき、子どもも楽しめるワークショップもあります。旧講堂の空間はギャラリーを兼ねたレストランになっているなど、懐かしい学びの空間でアートを堪能できるスポットです。
○【B】校舎内で栽培されたキノコ
正解です。
旧野田小学校の空き教室を活用して行われているのは、なんとキノコの栽培。
教室を20℃前後に空調管理し、コーヒー粕(コーヒーを抽出後に残る粉)を利用した培地で、希少な「たもぎたけ」を育てています。
複雑な工程がなく、通年で収穫可能なキノコ栽培は、障害がある人とない人が共に学ぶ「インクルーシブ教育」に力を入れている豊中市と連携して行われています。「キノコ」という産物だけでなく、地域全体で取り組む共生社会の推進という役割も担っているのです。
×【C】校舎を利用した水族館
旧校舎を利用している水族館は、高知県室戸市にあります。
旧椎名小学校を改修した「むろと廃校水族館」は、平成30(2018)年にオープン。白い校舎の外壁に映える、青いラインカラーがアクセントになった外観が特徴的です。学校の敷地内では、屋外のプールと校舎内に設置された水槽に、地元の定置網にかかっていたウミガメや、魚たちがのんびりと泳いでいます。
×【D】校舎内で水耕栽培された春菊
「きくな」と呼ばれ親しまれている春菊は、大阪府内で多く栽培されている野菜ですが、旧野田小学校では栽培されていません。
豊中・伊丹エリアでは、小松菜やさつまいもなども栽培されています。
実は伊丹市内では、ある柑橘類が名物として親しまれています。オレンジとレモンの自然交配種といわれ、やさしい酸味と甘さが特徴の果実です。同じ名前のキャラクターも活躍している、その柑橘類の名前は何でしょう?
A. はるかレモン
B. せとかミカン
C. たみまるレモン
D. 紅まどんな
×【A】はるかレモン
「はるか」は福岡県糸島生まれで、広島県などでも栽培されている柑橘類。鮮やかな黄色ですがレモンではなく、自然交配で偶然生まれた品種だといわれています。
レモンのような色味なので酸味が強そうに見えますが、意外と甘みが強いのが特徴。さわやかでさっぱりとした甘みと香りが楽しめます。
×【B】せとかミカン
2000年代になってから登録された、比較的新しい品種の「せとか」。柔らかい果肉と果汁の多さ、濃厚な甘みが特長で、房も柔らかいためそのまま食べられるのも魅力の一つです。
愛媛県や佐賀県、長崎県などで栽培されています。
○【C】たみまるレモン
正解です。
「たみまるレモン」は伊丹産のマイヤーレモン。原産はアメリカです。
明治生まれの政治家・実業家である高碕達之助(たかさき たつのすけ)さんが、アメリカから持ち帰ったマイヤーレモンの穂木(ほぎ)。これを苗木として育てたのが、伊丹市東野地区の苗木農家だといわれています。
東野地区にはレモン栽培が広まり、ついには伊丹の特産「たみまるレモン」として命名されるまでになりました。
通常のレモンより大きめで、酸味は少なめ、果汁はたっぷりの「たみまるレモン」。皮が薄く苦みも少ないので、皮ごと食べられるほか、料理や加工にも最適です。
同じ名前を持つ伊丹市のマスコットキャラクター「たみまる」も活躍中。
カモ科の水鳥・マガモがモチーフのキャラクターで、“仲間”と再会できる伊丹市の昆陽池公園が大好きなのだとか。
×【D】紅まどんな
「紅まどんな」は愛媛生まれのオリジナル品種。愛媛県のみで栽培されています。
その名の通り赤みがかった果肉からは甘い果汁があふれ、芳醇な香りが漂います。外皮がとてもデリケートなため、雨が当たらないように育てられているのだそう。
伊丹は「清酒発祥の地」ともいわれ、戦国時代末期から江戸時代初期にかけて、従来の「にごり酒」から「澄んだ酒=清酒」を大量に造る技術が開発されたと伝わっています。伊丹でつくられた酒について、正しい説明はどれでしょう?
A. 「下り酒」と呼ばれていた
B. 猪名川(いながわ)の川の水をそのまま使用したものが主流
C. 硬水ではなく軟水でつくられている
D. 通称「女酒」として親しまれた
○【A】「下り酒」と呼ばれていた
正解です。
従来のににごり酒(どぶろく)から清酒をつくり出す技術は、16世紀に現在の奈良の寺院で開発されたといわれています。その後、猪名川の上流にあるいくつかの村では、その技術を改良して、清酒を大量に生産するようになりました。
こうして江戸時代には、伊丹は日本有数の酒造産地にまで発展しました。
江戸時代、伊丹をはじめ西宮や灘の地で良質な米と水を使ってつくられたお酒は、お酒を輸送する専用の船「樽廻船(たるかいせん)」に載せられ、江戸の街へと届けられていました。
これを人々は、上方(関西)から江戸へ下ってくる酒、「下り酒」としてもてはやしたそうです。
伊丹の酒造業は幕末頃から次第に衰退し、現在、伊丹の醸造元は「白雪」で知られる小西酒造と、「老松」で知られる伊丹老松酒造のみになっています。
×【B】猪名川(いながわ)の川の水をそのまま使用したものが主流
不純物が少なく良質な水に恵まれていた伊丹では、基本的には井戸水(伏流水)を使った酒造りが主流でした。中には、猪名川の水を汲んでつくったり、箕面山の滝の水を使用したり、といったこともあったようです。
伊丹市と豊中市の境界付近を現在も流れる猪名川は、桜づつみや散策路があり、市民の憩いの場となっています。
×【C】硬水ではなく軟水でつくられている
伊丹の酒をはじめほとんどの酒は硬水でつくられますが、広島県では明治時代に「軟水醸造法」が生み出されました。酒づくりに適さないといわれた軟水を活かした、当時としては独創的な醸造法だったといいます。
これによって、まろやかで口当たりのよい“広島の酒”が誕生しました。
×【D】通称「女酒」として親しまれた
「女酒」と呼ばれているのは、伏見でつくられたお酒です。
伏見のお酒はカルシウムやマグネシウムなどが程よく含まれている中硬水を使い、発酵にも比較的長い時間をかけるため、なめらかできめ細かい風味が特長です。そのため、ミネラル分が多い硬水を使った灘の「男酒」に対して、「女酒」と呼ばれています。
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ライター
ライター しらはた
取材では興味のあることを深堀りして聞いてしまい、ついつい脱線しがちなところがある。 好きな場所は京都の賀茂川や京都府立植物園、下鴨神社。下鴨神社で開かれる手づくり市や古本市には足しげく通っている。街中でコーヒー店を見るとつい寄り道するタイプ。
2025.12.12 - 2025.12.18