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26.01.22
フードアナリストあい
大阪を拠点に、日本と韓国の食文化を軸とした取材・執筆を行うフードアナリスト。

阪急岡町駅から徒歩1分。岡町商店街の入口に店を構える「来夢来人(らいむらいと)」は、町中華の歴史を受け継ぎながら、ナチュラルワインと楽しむ創作中華へと進化した一軒です。「中華×ワイン」という新しい楽しみ方が広がる中、地元に親しまれつつ、注目を集める理由を探っていきます。
「来夢来人」は、創作中華とナチュラルワインを楽しめる店として知られています。
肩肘張らない雰囲気の店内では、料理とともにグラスを傾け、ゆったりとした時間を過ごす人の姿が目立ちます。仕事帰りや週末の食事など、気負わず立ち寄れる一軒として利用されています。
客層は30代後半から60代が中心で、夫婦やカップルでの来店も多く、落ち着いた時間を求める大人の客層が自然と集まっています。昔から通う地元の常連に加え、ナチュラルワインを目当てに市外から予約を入れて訪れる人も少なくありません。
料理とワインの相性そのものを楽しむ──そんな過ごし方が、この店の日常になっています。

「来夢来人」の原点は、先代が営んでいた町中華にあります。
岡町商店街の入口という立地で、餃子や炒飯、蒸し鶏といった親しみやすい料理を提供し、長年にわたり地域の人々の食卓を支えてきました。現在も、餃子やしそ餃子、むしどり、そして餃子のタレに使うニラダレなど、一部の味は先代のまま受け継がれています。
二代目店主が店を引き継いだ当初は、こうした町中華の流れを大切にしながら営業を続けていました。しかし、フランスで働いた経験が、料理とお酒を組み合わせる楽しみ方を自然と意識させるようになり、少しずつ現在のスタイルへと変化していきます。

パリでの修行は、料理の組み立て方にも影響を与えました。中華の技法を軸にしながら、酸味や香りの使い方、盛り付けの感覚など、フランス料理で培った感性が創作中華の表現に生かされています。
転機となったのは、昼飲みで創作中華を提供し始めたことでした。軽やかな味付けや盛り付けが女性客を中心に支持され、事前予約で満席になる日も増えていきます。こうした反応を受け、令和5(2023)年に現在のスタイルへと本格的に舵を切りました。
町中華の土台を生かしながら、ワインと寄り添う料理へ。その変化は、無理のない流れの中で受け入れられています。
また、夫婦で営む店ならではの温かさも創作性の源のひとつ。カウンター越しに息を合わせて料理を仕上げる姿が、店の空気を柔らかくし、料理にも自然と“優しさ”が宿っています。

「来夢来人」を語るうえで欠かせない一品が、このブルーチーズむしぱんです。蒸したてのむしぱんはふんわりと軽やかな口当たりで、ブルーチーズのコクと塩味が重なり、甘さは控えめにまとめられています。
ワインと合わせることを前提にした味わいで、ナチュラルワインの酸味や果実味がチーズの余韻を心地よく引き延ばします。

香ばしく揚げたライスに、しっとりとした鶏肉とコクのあるマヨソースを合わせた一皿です。
外側のカリッとした食感と、中のやさしい旨みの対比が印象的で、食べ進めるほどにクセになります。ボリュームがありながら重たさはなく、ワインのフレッシュさと合わせることで後味は驚くほど軽やかです。

店主が最初に考案した創作中華の原点ともいえる一品です。
濃厚なレバーパテを春巻きの皮で包み、仕上げにグレープフルーツジャムを添える構成は、中華とフランスの感性が自然に溶け合ったもの。レバーのコク、皮の香ばしさ、柑橘の酸味が重なり、ナチュラルワインとの相性の良さが際立ちます。

しっかりと下味をつけたスペアリブを唐揚げにし、甘辛ソースで仕上げた食べ応えのある一皿です。外はカリッと香ばしく、中はジューシー。中華らしい力強さを持ちながら、ワインとも合わせやすい味のバランスが意識されています。ビール派にも支持される定番です。

豚肉の旨みと蕪の葉の漬物の風味を生かした水餃子を、はまぐりの旨みを生かした澄んだスープで味わう一皿です。貝の旨みと野菜の風味が重なり、後味はやさしく上品。食事の後半でも心地よく楽しめる一品で、ワインのミネラル感ともよく調和します。

「来夢来人」の魅力は、創作中華とナチュラルワインを特別なものではなく、「日常の楽しみ」として提供している点にあります。料理もワインも価格帯は比較的手頃で、気負わず選べることが、繰り返し足を運びたくなる理由のひとつです。
店主がセレクトするワインは、料理との相性を意識しながら、季節や仕入れ状況に合わせてラインアップが変わります。ナチュラルワインを中心に、食事と合わせて楽しめるものが揃っており、ワイン好きはもちろん、気軽に試したい人にも使いやすい構成です。
さらに、クラフトビールの充実ぶりも来夢来人の特徴です。常時4種類のクラフトビールが生で楽しめ、日本では珍しい台湾クラフトビールも味わえます。華やかな香りや軽やかな飲み口のものが多く、創作中華との相性も良好。ワインだけでなく、ビール派にとっても魅力的なラインアップです。
駅から徒歩1分という立地も、日常使いしやすい理由のひとつ。仕事帰りにふらりと立ち寄る人、週末にゆっくり食事を楽しむ人、ワインを目的に訪れる人など、さまざまなシーンで利用されています。
店主に「来夢来人らしさとは?」と尋ねると、「自由な発想」と返ってきます。町中華の伝統を守りながらも、固定観念にとらわれず、ワインに合う中華を追求する姿勢。その柔軟さこそが、来夢来人の魅力を形づくっているのです。

今後について店主が語るのは、「料理だけでなく、人との関係性もより大切にしていきたい」という思いです。料理に集中するあまり、接客が控えめになる場面もあるといい、これからはお客さんとの会話も意識的に増やしていきたいと話します。
また、メニュー数を増やしたいという思いもあります。特に点心には以前から興味があり、ワインと合わせやすい点心の形を模索しているところだといいます。蒸し料理や揚げ点心など、創作中華の延長線上で新たな表現が生まれる可能性は大いにあり、今後の展開が楽しみです。
ワインに合う料理のクオリティをさらに高めたいという意欲も強く、ソースの構成やスパイスの使い方など、細部のブラッシュアップを続けていく考えとのこと。町中華の記憶を大切にしながら、自由な発想で進化を続ける来夢来人。これからも岡町の街とともに、ゆっくりと進化を続けていきそうです。

| スポット名 | 来夢来人(らいむらいと) |
| 営業時間 | Instagramにて要確認 |
| 定休日 | 日曜+不定休 |
| 問い合わせ | 06-6852-1316 |
| アクセス | 阪急岡町駅下車すぐ |
| 住所 | 大阪府豊中市中桜塚1-2-4 (岡町商店街内)【MAP】 |
| URL | https://www.instagram.com/limelight.toyonaka/ |
ライター
フードアナリストあい
年間250件以上の飲食店を訪れ、味わいだけでなく料理人の思想や背景までを丁寧に言葉にするフードアナリスト。近年は料理人や生産者へのインタビューにも注力し、「記憶に残る食体験」を軸に、日常と非日常をつなぐ食の魅力を発信している。
2026.1.16 - 2026.1.22