高槻・島本 TOKK
Rain
12.6
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高槻・島本 TOKK
Rain
12.6
26.01.26
ばんぶう
高槻在住ウン十年。家族は夫+インコ+トイプー。趣味は映画と現代アートの鑑賞です。

阪急富田駅から大通りを南へまっすぐ5分。左手に、ふと視線を奪われる半地下のお店があります。
それは、前々から気になっていた「KAKURA」さん。
お店の「KAKURA」という名前は、先住民族で少数民族の「KAKURA族」から。
この店のオーナー兼デザイナーの石原ゆかりさんにたくさん、モノづくりへの想い、好きなもののこだわりについて伺ってきました。
入口からいきなり半地下なので、入るのにちょっとドキドキ勇気がいりますが、入店最初にが大きなわんこがお出迎えしてくれます。
秋田犬がしっくり似合うお洒落な空間は工房と店舗を兼ねていて、たくさんの革製品が並んでいました。

空間そのものが作品のようで、どこを切り取っても絵になる。
思わず「お洒落…」が口からこぼれてしまうのですが、その“お洒落”が表面的な格好よさではなく、理由のある美しさ・・・。
聞けば聞くほど、いま目の前にあるプロダクトが“偶然こうなった”のではなく、積み重ねのと工夫の末に“ここに行き着いた”ことが伝わってきました。

まずは、KAKURAの始まりの話から
KAKURAのスタートは、氷室にあった工房で最初は「制作のみ」でした。
紙と陶器を商品化し、東京のお店で取り扱ってもらっていたところ、そこから展覧会を開かないかというお誘いが届きます。
それが1999年10月。2000年へのカウントダウンをテーマにした「Clay’s Design for Desktop」展でした。
まず大きな机を特注で作ってもらい(木製)、昔懐かしのMacintosh Classicが置かれたデスクトップの風景、机周辺のファイルやその他の文具までもを陶器でつくり上げたそうです。
“デスクの上にあるもの”を陶器で作るという発想が斬新!
当時の写真を見せてもらいましたが、相当広い空間。しかも展覧会期間は1か月半
その広い場所を作品で満たした石原さんのエネルギーに、まず驚かされました。
机と対で置かれた椅子はドイツのミシン工場の椅子。そのときの机と椅子が、いまも工房の真ん中に置かれているのが、たまらなく良い。
制作の歴史が過去の記録としてしまわれるのではなく、現在の空間に溶け込み、日常の中心で息をしている。この日、私は何回「お洒落~」「カッコいい~」とつぶやいたことか。

2000年、細見美術館で“提灯照明”が照らしたもの
その後2000年、京都・細見美術館のギャラリーショップに出した提灯照明は、自立する形に制作。
提灯を照明器具として使えるプロダクトにする発想も、それを自立させる設計に落とし込む技術も見事で、その照明器具が現在販売可能なストックとして近くの第二工房にあるそうです。
この灯りが、すごく良い。
工房前面が波板ガラスの構造で、その内側に吊り下げられた3階から続くすだれが、外からの光を和らげ、またもや「お洒落~」と声が漏れてしまいます。
すだれの伝統工芸士さんとのコラボで制作されたすだれの衝立なども作品に。
その伝統工芸士さんに革屋さんを紹介され、そこから革製品を独学で作り始めたという流れがまた面白い。素材との出会いが、偶然のようでいて、ちゃんと物語になっている。
独特なのは、裏革を貼らない一枚革で、手縫いで仕上げるという製法。
これがKAKURAの製品の「軽さ」の秘密でした。
この日は、その「使いやすさ」の秘密をたくさん聞かせていただきました。ぜひお店に足を運んだ際には、訊ねてみてください。特許取得の製品の話など、実に興味深いお話でした。


2003年、レザー+クレイデザインへ
2003年にも1999年と同じギャラリーで「Leather+Clay’s Design for Valentain」展を開催、その時から革の作品が増えたそうです。
紙から始まり、クレイ(陶芸)を経て、革へ。
石原さんは特に紙というマテリアルが好きで、コンセプトは「日本のデザインと手仕事」。
竹と紙、紙と陶器、タコ糸など、素材の組み合わせがとにかく面白い。なるほど、どれもどこか日本的な気配をまとっていて、それが“古い”ではなく“新しい”として成立しているのがなんともカッコいいのです。
革は、システム手帳と革の名刺ケースの制作から始まったとのこと。デザインの追求と使う道具としての視点があり、経年の変化まで含めて考えられています。

「捨てない」発想がデザインになる
もう、すべてカッコいいのですが、KAKURAが刺さるのは“カッコいいだけじゃない”ところです。
大きな製品を切り取った残りの部分。それを捨てずにもっと生かせないかと取り組んだのが、革を小さく断裁して繋いだ革暖簾。
美しく、デザイン力がMAXで発揮されています。
ものをつくる過程では、どうしても出てしまう使いきれない素材。けれど視点を変えるとそれも宝の素材になる。そもそも革は使えば使うほど味が出て、長く使う素材であること。さらに工房には、古いものを新しく見せて使われているものが存在している。
「ものをすべて使い切る」という古(いにしえ)からある原住民の感覚・・なんとなく「これもまたまさしくKAKURA族では?」と私はひとり感動していました。
同じく継ぎ合わせがむしろお洒落なレザークッションは「呼吸をするクッション」というネーミング。
押さえるとほんとにひゅう~っと息を吐き、息を吸うように元に戻ります。なんと中にはコットン100%のたっぷりのわたと、天然のヘチマシートが入っているのです。その理由は・・・・聞けばまた工夫中の工夫で話が尽きません。

居心地が良すぎて、つい長居してしまう
「こういうモノづくりの人生っていいなあ…」と思いながら、つい長居をしてしまいました。居心地が良すぎるのは半地下だからでしょうか。外の気配が少し遠のいて、目の前の素材や形に集中できる。
以前はこの一角にカフェコーナーがあったそうで、そのコーヒーは今も取り扱いされています。豆を購入しました。
これがまた驚きで、お湯を注ぐとまるで生き物のように、驚くほどふくらみます。すごく良い豆なのだと思います。
KAKURAで過ごした時間の余韻を、家に持ち帰れるような存在で、こちらのコーヒー豆もおすすめです。

最後に見せていただいた「ウォレット」
最後に見せていただいたのはウォレットでした。革の色の組み合わせをリクエストして作ってもらえるのが嬉しいところ。薄くて、軽くて、使うほどに馴染む。お尻ポケットに財布を入れる習慣のある男性には、とても良いと思いました。薄さと軽さは見た目の美しさにもつながり、型も使うほどに馴染むと思います。

富田の半地下で出会ったのは、格好よさの奥に「思想」があるモノづくり。
KAKURAの工房では、革小物づくりの体験もできますので、ぜひ問い合わせてみてください。

| 店舗・施設・スポット名 | KAKURA |
| 時間 | 【平日】10:00~18:00 【土曜】11:00~18:00 【日曜】11:00~17:00 |
| 定休日 | 火・木曜・祝日 |
| 問い合わせ先 | 072-694-6441 |
| アクセス | 阪急富田駅下車 約5分、 JR摂津富田下車 約6分 |
| 住所 | 高槻市富田町5-1-20【MAP】 |
| 公式URL | https://www.kakura.in/ |
高槻_島本ライター
ばんぶう
結婚をきっかけに高槻で暮らし始めてから数十年。子どもたちは東京と名古屋でそれぞれの生活を送っているので今は夫と二人暮らし。家族は他にコザクラインコとトイプーです。趣味は映画鑑賞とアート。
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