六甲・灘 TOKK
Rain
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六甲・灘 TOKK
Rain
11.73
26.01.28
児島 奈美
関西の編プロに在籍後、神戸を拠点に国内外で取材・撮影・執筆。仕事とプライベートで40カ国以上渡航。

ポートアイランドと六甲アイランドの中間の湾岸沿いに位置する「摩耶ふ頭」は、日本を代表する国際貿易港・神戸港の中のふ頭の一つです。ハーバーハイウェイが貫き、そのアクセスのよさから流通業務地区といわれていますが、関係者以外は案外なじみがないもの。実際にどんな場所なのか歩いてきました!
※上写真は一般道から望遠レンズで撮影
スタートは阪神電車の西灘駅から。
浜手幹線、阪神高速3号神戸線を横切るとまもなく、右手にバスケットのゴールやベンチなどのある広場が見えました。「西郷川河口公園」です。

早咲きの河津桜と菜の花の競演も有名で、通年2月下旬~3月上旬にはピンク色と黄色のコントラストが見事だとか。花はこれからですが、ひと足早い新しい季節の訪れを感じ、心が温かくなりました。
公園からラーメン店やカフェなど飲食店が集まる491号線沿いを南下すると、青い大きな道路標識の向こうに、上下2段の構造を持つ高架式の道路「ハーバーハイウェイ」が、立ちはばかるように東西に延びていました。

まずは左折して「摩耶ふ頭」の南東へ向かってみました。途中、フットサルの屋内スポーツコート「ペナルティスタジアムKOBE」を通り過ぎ、さらに歩いて目に飛び込んだのは、森永乳業神戸工場の大きな建物です。

森永乳業の工場沿いを規模の大きさを実感しながら東進すると、「摩耶ふ頭」の東側に到着。大きな道路の東側は一般人は立ち入り禁止ですが、金網越しに船の上部が遠望できました。

道路を南進すると、南東端には広い平たんなスペースが金網の向こうに続いていました。地図にはカーターミナルと書かれています。遠くに見える車の数々は、これから世界へ輸出されるのかもと思うと夢が広がります。

カーターミナルのある海岸線沿いについて、神戸市港湾局の方から面白い話を聞きました。私たち一般人は立ち入り禁止で見ることができませんが、なんと地面に“レール”が敷かれているそうです。
ひょっとして鉄道が走っていたのだろうか?……かつて物流の中心はトラックではなく鉄道で、国鉄(現JR)の貨物専用の路線「神戸臨港線」が延び、昭和47(1972)年~昭和61(1986)年の間「摩耶埠頭駅」があったからです。
残念ながら予想は外れ、答えは「ガントリークレーン(荷役機械)を移動するレール」とのこと。

摩耶ふ頭の建設は、昭和34(1951)年~昭和42(1967)年ごろに行われました。平行して昭和40年ごろ、世界の海運業界ではアメリカから始まったコンテナ輸送の波も急速に進んでいました。
それまで荷物は大きさ・形・重さが異なり積み下ろしは手作業でしたが、共通のコンテナを活用することで、港での船の積み下ろしはガントリークレーンを使えるように。さらに、陸路のトラックや鉄道の輸送にも、そのままコンテナを利用できました。流通の大革命だったのです!

「摩耶ふ頭」は、日本初の公共コンテナターミナルが建設された場所であり、昭和42(1967)年にコンテナ船が日本に初めて入港しました。そう、この「摩耶ふ頭」から日本のコンテナ時代が幕を開け、神戸港繁栄の基礎が築かれたのです。
その後、第3突堤と第4突堤の間を埋め立て拡張しました。これが平成元(1989)年ごろの摩耶ふ頭の再開発です。
平成7(1995)年、阪神・淡路大震災で、岸壁の崩壊やガントリークレーンの倒壊など摩耶ふ頭も深刻な被害を受けました。復旧・拡張工事は急ピッチで進められたと言います。1~3突堤間は市街地で発生した瓦礫(がれき)などを利用して埋立再開発が行われ、全体面積約103ha(甲子園球場の約26.8個分!)の近代的なふ頭として生まれ変わりました。

コンテナふ頭の役割は現在、ポートアイランド・六甲アイランドに移り、摩耶ふ頭にガントリークレーンはなくなりました。しかし、当時に使用したレールが残りました。鉄道レールではありませんでしたが、日本初と最先端が凝縮した世界につながるレールだったのです。
思いがけず神戸港の歴史の一端に触れることができ、感慨にふけりつつ、次は西海岸を目指しました。
実はとても楽しみにしている場所があるからです。

西に向かってひたすら歩くこと20分ほど、お目当ての場所に誘導する看板を見つけて気分が高まります。

地図で下調べをしていた時、ここにポツンと食堂があることが、とても気になっていました。
運営先の神戸港湾福利厚生協会に連絡してみると、神戸港で働く人はもちろん、一般客も気軽に利用できるとのこと。新港突堤やポートアイランド、六甲アイランドなどで8店舗を展開しているそうです。
食堂はカフェテリアスタイルで、食券を購入して料理と交換します。
ランチセット6種類のうち1種は450円、残りは600円と良心的な価格設定。そのほか、うどんやそば、おかず、ごはんなどの単品も選べます。
一番人気だという本日のおすすめランチの券を購入して列に並びましたが、ずらりと並ぶさまざまな単品のおかずや、そばの立ち上る湯気と出汁の香りにも、気移りしてしまいました。

さっそく味わったハンバーグは、濃厚なデミグラスソースがかかってやわらか。料理全体もボリュームも満点で、おなかがいっぱいになりました。
| スポット名 | ピアハウス 摩耶1 |
| 時間 | 7:30~15:00、土曜7:30~13:00 |
| 定休日 | 日曜、祝日、年末年始 ※改装工事のため令和8(2026)年3月31日まで休業。営業は令和8(2026)年4月1日から。 |
| 問い合わせ | 078-882-1586 |
| アクセス | 阪神西灘駅下車 約27分 |
| 住所 | 兵庫県神戸市灘区摩耶ふ頭第1 突堤中央部【MAP】 |
| URL | http://kobe-fukuri.or.jp/dining_facilities/ |
ランチに元気をもらい、残っている中央部の攻略に出発しました。
地図を改めて見ると、区画や道路がひし形に整備されています。
建物を立てるためには長方形の区割りの方が効率が良さそうなのに疑問に感じていると、そういえば摩耶ふ頭は昭和42(1967)年の完成当時、くし形だったことを思い出しました。

その後、コンテナふ頭への再整備と震災の復旧工事で、突堤の間は埋め立てられました。しかし、第1~4突堤の名残が区画や道路に今も息づいていることにはっと気づき、時間を超えたつながりを感じて身が引き締まる思いがしました。

倉庫の中まで見ることはできないため、外に並ぶ重機以外は扱う商品は分かりませんでしたが、フォークリフトで荷物を移動させたり、壁に掲げられた標識だったりに、流通や港湾の仕事の一端を知ることができました。

海沿いでは、トップページの写真のように、神戸市のマークが壁に施されたオレンジ色の屋根の建物が目を引きました。上屋と呼ばれる荷物をさばいたり、補完したりする場所です。
明るく清潔でしゃれた神戸港の雰囲気をつくり出すため、臨港地区では建物の外壁をクリーム色系で統一し、屋根や窓などのアクセントカラーを地区ごとに変えているとか。

帰りにセブン-イレブンに立ち寄ったところ、軍手やカイロの棚があったり、カップラーメンに大盛り商品が多かったりに、摩耶ふ頭での仕事の大変さを垣間見たよう。
当たり前のように物が手元に届くのは、ここで働くみなさんのおかげだと、自然に頭が下がりました。
| スポット名 | 摩耶ふ頭 |
| 問い合わせ | 078-241-1050(神戸市総合インフォメーションセンター) |
| アクセス | 阪神西灘駅下車 |
| 住所 | 兵庫県神戸市灘区摩耶埠頭【MAP】 |
ライター
児島 奈美
学生時代に中型二輪で北海道・信州・九州を巡った昔ライダー、今ライター。アメリカをキャンプしながら約1カ月かけて横断後、大阪の編集プロダクションに入社。関西の情報誌と海外の旅行ガイドブックを主に制作。飲食店、ショップ、観光スポット、宿泊施設などを幅広く取材。城、昔町、電車旅なども得意分野。退職後に欧州を3ヶ月放浪して独立。ベトナム・ホーチミンで、雑誌立ち上げと人材育成に携わった経験も。
六甲・灘のランキング 2026.2.18 - 2026.2.24
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