宝塚 TOKK
Clouds
8.94
WEB版「TOKK」が「TOKK関西」にリニューアル
URLが変更になりました
検索する
閉じる
宝塚 TOKK
Clouds
8.94
26.03.06
野村
大阪を拠点に関西のあちこちに出没する取材ライター。おもに京阪神エリアで取材しています。

約1,200年前、弘法大師(空海)が修行をおこなった地として知られる寺々を巡る「四国遍路」。「お遍路さん」として親しまれるこの巡礼は、近年では自分を見つめ直す旅として、若い世代や外国の方からも注目を集めています。「いつか挑戦してみたい!」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、そんな四国遍路を巡るための本格的なアイテムが揃うショップ「いっぽ一歩堂」が、宝塚市内にあるのをご存知ですか? お店ではどのようなものと出合えるのでしょうか。お遍路用品専門店「いっぽ一歩堂」を訪ねました。
「いっぽ一歩堂」があるのは、阪急「逆瀬川駅」から徒歩約5分の場所。緩やかな坂の途中に立つビルの1階に佇んでいます。 一歩足を踏み入れると、そこには白い装束、菅笠(すげがさ)、輪袈裟(わげさ)、金剛杖など、お遍路に必要な道具がずらりと並んでます。

ここで一人ひとりの悩みや相談に丁寧に向き合っているのが、店主の佐々木康夫さん。佐々木さん自身も四国遍路を8周し、四国八十八ヶ所霊場会に認定された「公認先達(せんだつ)」として活動する、巡礼のスペシャリストです。

佐々木さんが四国遍路に出会ったのは平成19(2006)年のこと。「31歳のとき、起業したいと考えて会社を辞めたんです。そのタイミングで、一度自分自身と深く向き合いたいと思い、四国遍路へ出たのがすべての始まりでした」と振り返ります。
「毎日約40kmの道のりを一人で歩き、お寺を参拝する日々。それは、雑音のない場所で自分と自身と深く向き合うことができる、他には代えがたい貴重な時間でした。お遍路を終えたあと、この感動を多くの人に伝えたいという強い思いが湧いてきたんです」
そんな佐々木さんは地元である大阪府交野市にて、地元の公民館などで自身の経験を語り始め、やがて希望者と一緒に四国へ赴くようになりました。
「四国遍路に一緒に参加してくださる皆さんのために道具を揃えるようになったのがきっかけで、2008年にインターネットショップを、2013年には枚方市に実店舗をオープンしました。そして2018年、ご縁があってこの宝塚の地へ移転し、今に至ります」
現在はこうしたお遍路用品専門店は非常に珍しく、お店には関西圏のみならず、関東や九州から訪れる方も多いのだそう。
四国に入る前に「納得のいく道具」を揃えられる安心感は、巡礼者にとって何よりの支えになります。また、「中山寺」のお膝元ということもあり、「西国三十三観音霊場」を巡る方が道具を求めて来店されることも増えているそうです。
店内に並ぶ多彩なアイテムを前に、佐々木さんはこうアドバイスしてくれます。
「しっかりと準備を整えておくことで、現地の計画が立てやすくなり、結果として巡礼に集中できるようになります。四国に入ってから揃えようとすると、どうしても選択肢が少なくなり、貴重なお参りの時間が奪われてしまう。当店は商品の種類も多いため、こだわりたい方は、ぜひ出発前に選んでいただきたいですね」
なかでも必ず用意しておきたいのが、「白衣(びゃくえ)、輪袈裟(わげさ)、菅笠(すげがさ)、念珠(数珠)、金剛杖、納札(おさめふだ)、そして納経帳(のうきょうちょう)」です。

特に目を引くのは、デザイン性に富んだ輪袈裟や納経帳の数々。「これなら持って歩きたい」と思えるお気に入りのデザインがあれば、足取りも自然と軽くなりそうです。もちろん、西国三十三箇所用の専用アイテムも充実しています。


また、念珠も980円から9,500円ほどまで幅広くラインアップ。予算や好みに合わせて、自分にぴったりの一連を見つけることができます。

そして、意外と知られていないのが「納札」。お参りの際に納めるこの札は、巡礼の回数によって色が分かれています。初心者は「白色」の札からスタートし、回数を重ねるごとに色が変わっていく……。こうした細かな作法や仏教の知識も、佐々木さんがやさしく、丁寧に教えてくれます。


また、お参りする際にはお経を唱えるのも四国遍路の大切な要素の一つ。コンパクトに携帯できる蛇腹タイプの経本を持参するのが主流で、すべてお経の漢字にはルビがふってあるため、初心者でもお経をしっかり唱えることができます。
少しとっつきにくいイメージがある仏教の世界でしたが、初心者に寄り添ってくれるものもたくさん用意されているんだと実感しました。


「徒歩なのか、車なのか、どれくらいの期間で回るのか。皆さんの旅のスタイルを詳しく伺いながら、最適なご提案をしています。ご自身が納得できるものを自由に選んでいただければうれしいですね」
四国八十八ヶ所、約1,400km。長旅ゆえの「困り事」も、歩き遍路経験豊富な佐々木さんならお見通しです。店内には、実体験から開発されたオリジナルアイテムも並びます。
「一番重要なのは、常に身につける白衣です。雨に降られたり、汗をかいたりすることも多いので、なるべく軽くてすぐ乾く機能的な素材で自社制作しました」と佐々木さん。実際に触れてみると、軽やかで、肌触りも良い生地で、快適に歩くことができそうです。

また、多くの巡礼者を悩ませるのが菅笠による「頭の痛み」。「一日中被っていると、どうしても当たっている部分が痛くなってくるんです。それが本当に辛くて……。
そこで、笠の内側に入れて使うクッションパーツ『笠フィット』を開発しました」。実際に試着させてもらうと、確かにその有無で被り心地が全く違います。


さらに、金剛杖のカバーも人気の一つ。「杖の頭にある『梵字(ぼんじ)』は、お大師様の頭を意味するため、直接手で持つのはNGなんです。カバーを付けることで、敬意を払いながらしっかり握ることができます」。


どれも、実際に歩き遍路をしたからこそ分かる「かゆい所に手が届く」アイテムばかり。快適な旅は、より晴れやかな気持ちでの参拝に繋がりそうですね。
「いっぽ一歩堂」で日々、四国遍路への迷いや悩みなどに向き合う佐々木さんの原動力は、四国遍路を支える「お接待」の文化への感謝です。
「お遍路に来られる方は、大切な人を供養したい、自分を律したいという切実な思いを持った方が多い。だからこそ、形からもしっかり整えたいという真面目な思いに応えたいんです」
「私も初めての遍路は何も知らず、一番暑い8月に出かけました。トボトボと歩く私を助けてくれたのは、四国の方々でした。冷たいアイスやお茶、アイスコーヒー……。見ず知らずの私に手を差し伸べてくれる『お接待』に触れ、自分と向き合うなかで、『人の役に立つ仕事がしたい』という答えに辿り着いたんです」と、ご自身の経験を話してくれました。
「四国遍路に不安や疑問がある方は、ぜひ気軽に相談してほしい。お店を訪れた方が、『ここに来てよかった』と安心して旅立てる場所でありたいと思っています」と、佐々木さんがいつでも温かく出迎えてくれます。
足を踏み入れるには敷居の高いイメージの四国遍路ですが、決してそんなことはありません。最初の一歩として「いっぽ一歩堂」の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。

| スポット名 | いっぽ一歩堂 |
| 時間 | 10:00〜17:00 |
| 定休日 | 第1・2土曜、第3・4日曜 |
| 電話番号 | 0797-77-3300 |
| アクセス | 阪急逆瀬川駅下車 約3分 |
| 住所 | 兵庫県宝塚市野上1-5-10-401A【MAP】 |
| URL | https://www.ippoippodo.com/ |
ライター
おすすめ記事
おすすめエリア