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「アメダス」って雨を出す機械? 知っているようで知らないシステムの正体と、街を守る人々の思いを神戸地方気象台で聞いてきました!

26.03.19

26.03.19

児島 奈美

児島 奈美

関西の編プロに在籍後、神戸を拠点に国内外で取材・撮影・執筆。仕事とプライベートで40カ国以上渡航。

「アメダス」って雨を出す機械? 知っているようで知らないシステムの正体と、街を守る人々の思いを神戸地方気象台で聞いてきました!
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毎日の天気予報で耳にする「アメダス」。その響きから「雨を出す(雨量を計算する)装置」と思っている方も意外と多いのではないでしょうか。実はその正体は、私たちの暮らしと命を24時間体制で見守る観測システムです。

今回、気象観測を始めて今年で130周年を迎える神戸地方気象台を取材。気象台の観測機器や阪神間独特の気象、ぜひ知っておきたい令和8(2026)年5月から大きく変わる防災気象情報について詳しく伺いました。

天気予報でよく聞く「アメダス」ってなぁに?

阪神電車春日野道駅から南東へ約7分、広々とした臨海地域に立つ神戸防災合同庁舎に神戸地方気象台は入っています。さっそく防災管理官の竹田 進(たけた すすむ)さんに話を聞いてみました。

神戸気象台 神戸防災
合同庁舎
神戸地方気象台の入っている神戸防災合同庁舎

「『アメダス』とは『Automated Meteorological Data Acquisition System』の頭文字を取った略称『AMeDAS』のことで、日本語では『地域気象観測システム』と言います。昭和49 (1974)年から運用が始まり、現在、雨量を測る観測所が全国に約1,300カ所、約17km間隔で設置され、そのうち約840カ所では、気温や風向風速、湿度なども自動で観測しています。

観測データは10分ごとに気象庁のホームページで更新。私たちもスマートフォンやパソコンなどから、リアルタイムで確認できます。過去のデータも公開しており、天気予報だけでなく、『作物を植える日』や『自動販売機のホットとコールドの切り替え時期の判断』など、農家や企業をはじめ、幅広く活用されているんですよ」

神戸気象台 竹田さん
防災管理官の竹田 進さん

子どもや学生さんも、夏休みの課題研究や総合学習の時間で役立ちそうですよね。

暮らしを守る観測機器を実際に見てきました!

神戸地方気象台の建物の南側には、広々とした芝生の上に観測機器を配置した「露場(ろじょう)」と呼ばれる場所があります。

神戸気象台 露場
神戸防災合同庁舎の7階から見下ろした露場
神戸気象台 露場2
露場に特別に入らせていただきました!

「雨量を観測する機器が『転倒ます型雨量計』です。直径20cm筒の奥は『ろうと状』になっていて、その下にある『ししおどし』のような小さな器に雨水が入ります。器は0.5mmの雨がたまるとパタンと倒れ、反対側の器に雨水が入るようになります。雨水がたまるたびにパタン、パタンと繰り返され、その倒れた回数がカウントされ雨量が測定されます」

温度計・湿度計が地上1.5mの高さに設置されているのは、地面の熱の影響を受け過ぎず、私たちの生活環境に近い温度であることなどが理由だそう。感雨器は電極を張り付けたセンサーに雨粒が当たると電気が流れる仕組みで、雨の降り始めや雨上がりのタイミングを見逃さないとのこと。

神戸気象台 計測器
左は温度計・湿度計、右は上から雨量計、感雨器。これらの観測機器が24時間、リアルタイムで観測データを収集し続けています

露場の周りには梅やイロハカエデなどの植物が植えられ、生物季節観測の開花や紅葉の指標になっているとか。また、ポートアイランドにも露場があり、風向風速計と日照計は、そこに設置されているそうです。

神戸防災合同庁舎の7階では、地上観測データだけでなく、気象衛星ひまわりや高層観測といった地球規模のデータを基にスーパーコンピュータが解析した数値予報資料を、予報官が地域特性や過去の知見などを駆使して適切に修正し、天気予報や注意報・警報の発表を行っています。

神戸気象台 通信設備
7階の現業室には高度な観測機器や通信設備が設置されています

台風や豪雨、地震などの災害発生時には、兵庫県や市町、消防、警察といった関係機関と連携して、迅速に情報提供して私たちを守ってくれます。

神戸気象台 現業室
兵庫県の天気予報や注意報・警報の発表を行う現業室

いち早く気象観測に取り組んだ港町・神戸

神戸での気象観測は、神戸港の初代港長のイギリス人ジョン・マーシャルにより、明治8(1875)年に始まりました。公的な気象観測所の設立が、日本初の函館で明治5(1872)年、2番目の東京で明治8(1875)年であったことを考えると、神戸も私的ながらいち早く気象観測に取り組んでいたエリアなんです。

明治29(1896)年に、中央区中山手7丁目に県立の神戸測候所が創設されました。同敷地内では大正9(1920)年に海運業者中心の民間寄付により海洋気象台も発足。約2年後に世界に先駆けて船舶向けの気象警報などを発信し始めたそうです。

神戸気象台 ステンドグラス
当時の庁舎を装飾したステンドグラスは、現庁舎1階のエレベーター前などで見ることができますよ

明治23(1890)年から収集・保管している海上気象観測データは国際的な評価が高く、「神戸コレクション(the Kobe Collection)」と呼ばれているのだとか。

昭和14(1939)年に神戸測候所は海洋気象台に合併して現在の組織の礎が築かれ、約2年後に「神戸海洋気象台」と改称しました。

阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)により庁舎の一部が被害を受け、平成11(1999)年に防災拠点となる現地に移転。平成25(2013)年に名称が「神戸地方気象台」になりました。

神戸気象台  150周年
令和7(2025)年は気象庁(前身の東京気象台)が気象業務を開始してから150周年でした

「六甲おろし」の正体と、都賀川の教訓

阪神間では六甲山から吹き下ろす冷たく強い風「六甲おろし」がおなじみですよね。竹田さんにどうしてそんな風が吹くのか聞いてみました。

「北からの風が六甲山でさえぎられて空気が圧縮されながら山頂付近へ上がってきて、山を越えると一気に南側斜面を強風が吹き下ろしてくる現象です。

北西からの季節風が吹く冬のイメージがありますが、条件がそろえば冬以外にも起こります。例えば台風や発達した低気圧が本州の南岸を通過する時、阪神間では風が同じように北から南へ吹きます。もう安心と思ったタイミングで、この地形効果により強烈な風が吹くことがあるので気をつけてください」

また、山と海が近い神戸特有のリスクとして、平成20(2008)年7月28日に灘区の都賀(とが)川で起きた水難事故についても教えてくれました。都賀川では当日、14時頃まで晴天で多くの人が川沿いで遊んでいましたが、14時30分ごろから雷が鳴り始めて雨が降り、約10分で水位が1.3mも上昇し、濁流に飲み込まれて児童を含む5名が亡くなったのです。

「自分の頭上で雨が降っていなくても山側で大雨が降れば、阪神間では雨水が急激に川に流れ込んで増水することがあります。強い雨を降らせる発達した積乱雲の中では、成長した氷粒がぶつかり合って雷が鳴ります。急に空が雲に覆われて暗くなったり、雷が鳴った時は注意してください。5分ごとに更新される雨雲の動きや、10分ごとに更新される『雷ナウキャスト』、危険度分布『キキクル』もぜひ活用ください」

神戸気象台 キキクル
「キキクル」をスマホに登録しておくと、旅先でも役立つそうです

2026年、防災気象情報はより地域に密着し、より分かりやすく

令和8(2026)年3月17日から、神戸市民にとって注意報・警報の発表区域に大きな変化がありました。

「これまで注意報・警報は、『神戸市』で一括りに出されていたのですが、『市内9つの区ごと』に細分化して発表されるようになりました。これまで『北区では大雨だけれど、中央区では降っていない』ということもあったと思いますが、より地域の特性に即した情報が受け取れるようになったので、防災行動に役立ててください」

さらに、5月下旬から全国的に防災気象情報の名称が変わり、警戒レベルや避難の判断がよりわかりやすくなるとのこと。

「これまで『大雨』や『洪水』、『高潮』などの情報は、警戒レベルとの対応が複雑でわかりにくくなっていましたが、5月下旬からは情報名に「レベル2」「レベル3」といった数字が記載され、イエローやレッドなどの色分けもあり直感的に危険度がわかるように。さらに、避難する時間を十分に確保するため、数時間先の予測を重視して早めに情報を出すようになります」

神戸気象台 警報の表記
注意報・警報の新しい表記
神戸気象台  キキクル
危険度レベルに応じた発表時間と避難行動

「大雨警報や土砂災害警戒情報が発表され、避難したのに結果的に何も起きなかった場合、『外れて空振りだった』と失敗感を持たれる方もいらっしゃるでしょう。しかし、私たちは『何もなくて良かった』と考え、避難を決して無駄な行動だったと思わないでほしいのです。

10回避難して1回しか災害が起きなかったとしても、残りの9回は『空振り』ではなく、いざという時に動けるための練習『素振り(すぶり)』だったと考えることが大切です。命を守る練習『素振り』をしておくことで、本当に危険が迫った際に、迷わず迅速に行動できる可能性が高まるからです」

気象情報を駆使し、地域を守る30人のプロフェッショナル

神戸地方気象台では、現在約30名(2026年3月現在)の職員が勤務し、大阪管区気象台と連携しながら24時間体制で私たちの生活を見守っています。近年は「自然が好き」「地域を守りたい」という志を持った若い職員の活躍の場も増えています。

神戸気象台  オリジナルシール
気象庁のマスコットはれるんをモチーフに、若手の職員がオリジナルシールを作成

防災意識を高めるために、地域の防災リーダーや団体、学校などのグループ(20名程度)向けに、防災ミニ講座や観測機器を間近で見ることができる神戸地方気象台の見学も行っているそうですよ。

アメダスや気象衛星ひまわりなどによる精密なデータ、そして気象台で働く方々の思いが、私たちの穏やかな暮らしを支えているのだと実感する取材でした。

スポット名神戸地方気象台
時間8:30~12:00、13:00~17:15
閉庁日土・日曜、祝日
問い合わせ見学、出前講座、職員採用情報について:078-222-8901(業務・危機管理官室)
気象証明、観測施設の届け出等について:078-222-8907(防災管理官室)
アクセス阪神春日野道駅下車 約7分
住所兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-4-3 神戸防災合同庁舎【MAP】
URLhttps://www.data.jma.go.jp/kobe-c/

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児島 奈美

ライター

児島 奈美

学生時代に中型二輪で北海道・信州・九州を巡った昔ライダー、今ライター。アメリカをキャンプしながら約1カ月かけて横断後、大阪の編集プロダクションに入社。関西の情報誌と海外の旅行ガイドブックを主に制作。飲食店、ショップ、観光スポット、宿泊施設などを幅広く取材。城、昔町、電車旅なども得意分野。退職後に欧州を3ヶ月放浪して独立。ベトナム・ホーチミンで、雑誌立ち上げと人材育成に携わった経験も。

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