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独学で日本一に輝いた尼崎のバルーンアーティストが伝える、バルーンアートの魅力

26.03.23

関戸 直広

関戸 直広

1995年生まれ。埼玉県さいたま市出身、さいたま育ち。

独学で日本一に輝いた尼崎のバルーンアーティストが伝える、バルーンアートの魅力
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風船(バルーン)をひねったり組み合わせたりして、犬や花、キャラクターなど、さまざまな作品を作りあげるバルーンアーティスト。多くの方が、路上でパフォーマンスをする大道芸人の姿を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

「ステージショーを中心にするパフォーマーの他にも、イベントやパーティーの装飾やフォトスポット作り、結婚式のギフトなど、バルーンアートにはいろんな形で人々を笑顔にしているんです」。そう教えてくれたのは、尼崎を拠点に全国的にも珍しいバルーン専門の事業「株式会社Fluffy Lab」を立ち上げた西村剛さん。

会社員時代に独学でバルーンアートを始めたことをきっかけに、その世界にのめり込み、全国大会で2度の日本一に輝いた西村さんの下には、いまや日本全国からバルーンアートの依頼が寄せられます。

人々を笑顔にするバルーンの魅力、そしてバルーンと向き合い続ける理由とは? その答えを聞きに、西村さんにインタビューを行いました。

バルーンアーティスト プロフ写真

西村 剛さん 
「風船使いたけむぅ〜」の名前でバルーンアーティストとして活動中。イベントやパーティー、展示会など、さまざまなシーンを彩るバルーンアート事業「株式会社Fluffy Lab」の代表。独学でバルーンアートを始め、平成30(2018)年に全国大会「TWISTERS(ツイスターズ)」で優勝。有名キャラクターの展示会や「シルクドゥソレイユ」メンバーを始めとする団体のミュージカル舞台の大規模装飾などを手掛けた実績を持つ。

客を呼び込むため、独学でバルーンの世界へ

幼い頃からの憧れや、ステージに立ちたいという夢ではなく、西村さんがバルーンアートの世界へ入るきっかけは現実的なものでした。

バルーンアーティスト 6

「当時、携帯電話の販売員の仕事をしていたんですけど、現場に来ていたイベントスタッフがバルーンアートをしていたのを見て、仕事でお客さんを呼び込むのに使えそうやなと思ったんです」。

そのスタッフからバルーンの作り方を教えてもらい、お客さんを呼びこみながら花や剣など、簡単なバルーンをお客さんの前で披露するように。すると、ただ声を張り上げて呼びこみをするよりも、自然とお客さんが足を止めてくれるようになり、仕事の売り上げも伸びていったそう。

「負けず嫌い」に火がついた

高校生の頃は生徒会長として文化祭を盛り上げ、大学生時代にはボランティア団体を設立して子どもと関わる活動をしてきたこともあり、誰かと一緒に楽しめる場所を作ることが昔から好きだったという西村さん。

バルーンアーティスト 制作中
「せっかくなので何か作りましょうか!」と、インタビューに応えながら作品を作ってくれた西村さん

社会人になってからもスタンスは変わらず、平日は会社員として働きながら、休みの土日はボランティア活動を始めます。「会話が苦手な人でも、バルーンがコミュニケーションツールになる」と、ボランティア仲間にバルーンアートを教えていきました。

バルーンアート制作中

そんな中、平成23(2011)年に東日本大震災が発生。「自分たちでも何か力になれることはないか」と被災地に足を運び、バルーンショーやワークショップなど、仮設住宅でボランティアを行います。そんな西村さんの活動を見て、バルーンの仕事が舞い込むようになりました。

だんだんと依頼者が要求する作品のレベルが高くなってきましたが、自分の作品を見て、お客さんが驚く。その反応が面白くて、どんな依頼にも全力で応えるようになっていったそう。

バルーンアート制作中2

負けず嫌いで凝り性という性格から、独学でバルーンの技術を身につけていった西村さん。ある日、生まれて初めてプロのバルーンアーティストのパフォーマンスに出合い、「自分の技術に少し自信があったのに、『こんなものが作れるんや』って衝撃を受けたんです」。

悔しさと同時に「自分にもできないはずがない」と、胸の奥に火がついた西村さん。バルーンに対しての情熱は、今まで以上に強いものになっていきました。

それからは西村さんも自身もストリートパフォーマーとして活動を開始。人が集まる難波の戎橋や駅前などでパフォーマンスをしているうちに、プロとのつながりも増えていき。西村さんのスキルはさらに上達。仕事の呼びこみとして始めたバルーンに、少しずつプロとしての意識が芽生え始めていきました。

バルーン作品が完成
ものの5分程度でダルマを作ってくれました!

関西で大会を開催するため、日本一のアーティストに

それまでは大会にはあまり興味がなく、目の前の人を喜ばせるため、ひたすらバルーンに向き合ってきた西村さん。

次第に「バルーンはこんなにも自由で楽しいということを、もっとたくさんの人に知ってもらいたい」という気持ちが生まれ、関西で全国大会を開きたいという目標を持つようになります。

バルーンアーティスト7

「大会を主催するなら、わかりやすい肩書きがないとダメだ」と、周囲の先輩たちから助言をもらい、平成30(2018)年にバルーンの全国大会「TWISTERS」にエントリー。初出場ながらにして優勝という快挙を成し遂げました。

優勝の翌年には、関西では10年ぶりに開催となる「TWISTERS」を主催。尼崎の「あましんアルカイックホール」を会場にして、コンテストだけじゃなく、一般の方も楽しめるワークショップも開催。結果として、1万人もの来場者を呼び、イベントは見事成功を収めます。

西村さんはこの大会の主催を機に、務めていた会社を退社。プロのバルーンアーティストとして独立し、活動を続けることを決意しました。

達成感とリアクションが、変わらない楽しさ

「日本一になったことを恩返しに使いたい」。そんな思いから西村さんは、尼崎で小中学生を対象に開催されている職業体験や、市民まつりでのイベント出演、チャリティーイベントでのワークショップ、子どもホスピスでクリスマスのデコレーションなど、バルーンを通して地域に向けた活動も積極的に続けています。

独学で始めたバルーンアートが、いつの間にか仕事となり、今では若手に技術を教えたり、仕事を任せる立場にもなったそう。

バルーンアーティストの車の中
トランクケースいっぱいに入っていた色とりどりのバルーン

「作品が完成したときの達成感、そして作品をみたお客さんが感動してくれることが、今も一番うれしいです」。

時には数日間かけて行う作品作りは、決して楽な作業ではありません。「思い通りに頭の中のイメージを形にすることができないときも、トライ&エラーを繰り返すことで、次の新しい表現に繋がっていくんです」と、西村さん。

バルーン ミャクミャクイメージ

風船はただ膨らませて形を作るだけのものじゃない。人の心を動かし、誰かの1日を少しだけ特別なものにする力がある。今日も西村さんは、風船に想いをこめながら、誰かの笑顔を膨らませていきます。

バルーンアート メイン

西村さんの作品などはSNSや会社HPで見られます

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関戸 直広

ライター

関戸 直広

住み込みのホテルスタッフ、介護施設、飲食店などで働いていた後、コロナをきっかけにライター業に興味を持ち、編集者に弟子入りして関西に移住。

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