梅田 TOKK
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梅田 TOKK
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10.25
26.04.07
津曲 克彦(がりさん)
鹿児島県生まれ。大阪府吹田市出身。龍谷大学国際文化学部(現:国際学部)を卒業後、新聞社や出版社、編集プロダクションなどを経た後、2015年からフリーライターとして活動。

HEP FIVE(ヘップファイブ)とEST(エスと)が並ぶ、梅田のあの通り。阪急「大阪梅田」駅から徒歩7分、JR大阪駅から歩いて約5分のシログチビル屋上に、ダイキン工業の空気の看板「大ぴちょんくん」がいます。
ダイキンのキャラクター”ぴちょんくん”をモチーフにした高さ約13m(鎌倉の大仏とほぼ同じ大きさ)、横幅約11mの巨大なフルカラーLED看板で、平成28(2016)年3月16日の設置から令和8(2026)年でちょうど10年を迎えました。梅田を歩く人なら一度は見上げたことがあるはずです。
10周年を記念して、これまで非公開だった内部構造が初めてメディアに公開されました。ヘルメットと軍手を装備して、いざ潜入。高さ13m、重さ約40tの「大ぴちょんくん」のお腹の中は、いったいどうなっていたのでしょうか。
取材当日、案内されたのは大ぴちょんくんが設置されている梅田のビルの屋上です。普段は下から見上げるだけの大ぴちょんくんを、今度は屋上から間近で見上げる格好になりましたが、改めてそのスケール感に圧倒されました。
しかも屋上からの梅田の街の眺めは、なかなかの特等席でした。



内部に入ってまず目に飛び込んでくるのが、LEDパネルの裏側です。整然と並ぶ無数の基板と配線。あの鮮やかな発光を支えているのは、西面・東面合わせて35万個以上ものLED素子です。
外から見ているだけでは想像もつかない、びっしりとした光の仕掛けがそこにありました。



大ぴちょんくんの内部には「制御室」があります。気象データから運用データまでを一括管理する、大ぴちょんくんの司令塔です。専用PCには完全オリジナルのカスタムソフトウェアが搭載されており、しずく型の曲面に歪みなく映像を映し出すための技術が詰まっています。
取材前は「看板の裏側なんて配線だけかな」などと思っていたのですが、まさかこんなに本格的な制御設備があるとは思いませんでした。


「空気の状態は1分ごとに自動更新されています」とダイキン工業広告宣伝グループの髙須友理さんが説明してくれました。
大ぴちょんくんの中には百葉箱(温度計・湿度計)も設置されており、梅田のリアルタイムの気温と湿度を感知して、9色の表情に変換しています。日本気象協会からの花粉やPM2.5、熱中症アラートのデータも連携していて、基準値を超えるとアラート表示に切り替わる仕組みも備わっています。
下から眺めているだけではわからない、ちゃんとした「しくみ」がここにあったのです。

大ぴちょんくんの表情には、大きく2種類あります。
ひとつは「9色の顔」。温度と湿度の組み合わせによって「るんるんブルー(快適)」「じりじりレッド(高温多湿)」「ひえひえネイビー(低温)」など9色のぴちょんくんがリアルタイムで切り替わります。
一年を通じて最も多く登場するのは「るんるんブルー」ではなく「あつあつピンク」。大阪の夏、そういうことですね(笑)。
それぞれの色には「じりじりレッド=温度もしつどもとっても高くて暑く感じるね!」「ひたひたパープル=しっとりして、少し肌寒い空気だね」といった説明文もついており、空気の状態を感覚的に伝えてくれます。
ちなみに10年間を通して最も出現率が低いのが「ぱりぱりホワイト=乾いていて、肌寒い空気」だそう。美白なぴちょんくんに出合える機会はかなりレア。かなりラッキーかもしれません!

もうひとつが「百変化の顔」です。ハロウィン、クリスマス、お正月、バレンタイン、梅雨……と季節や記念日に合わせてデザインが変わります。
「たこ焼き」「カニ」「ヒョウ柄」など大阪ならではの顔ぶれも登場するのが、このキャラクターらしいところ。10年間で生まれたデザインは実に30種類以上にのぼります。新しいデザインが出るたびにSNSで話題になるのも納得です。
なかでも印象的だったのが、ハロウィン仕様の投稿エピソード。「お前、頭そこだったんか……」というツッコミ投稿が約1,119万回表示されて大反響を呼んだのですが、その後ちゃっかり頭の位置が改善されていたというオチまでついています。
大阪のツッコミをきちんと受け止めるあたり、さすがです。


10年間、毎日気温と湿度を記録し続けてきた大ぴちょんくん。平成28(2016)年と令和7(2025)年のデータを比べると、「あつあつピンク(高温多湿)」の出現率が18.7%から21.0%に増加し、「うるうるグリーン(快適な気温と湿度)」が17.0%から10.7%へと減少していることがわかります。
夏が長く、暑くなる「二季化」の兆しが、梅田の空気のデータにもはっきりと表れているというわけです。
コロナ禍には大阪モデルの警戒信号に合わせてライトアップを行い、「コロナに負けるな!」とメッセージを発信するなど、単なる看板の枠を超えた存在感を発揮してきた大ぴちょんくん。当時の投稿には「さすがダイキンさん」「中心地の梅田エリアで灯せるのはダイキンの看板くらい!」といった市民からのコメントが相次ぎ、大きな反響を呼んだといいます。
10年分のデータとエピソードを聞くと、毎日通り過ぎていたあの大ぴちょんくんが、ずいぶんいろんなことを見てきたのだなと感じます。

10周年のキャッチコピーは「空気のことでちょぴっと笑える毎日を。」。このゆるさが大ぴちょんくんらしくて、いいですね。
10周年を記念したコラボ企画として、UNIQLO UMEDAでは大ぴちょんくんデザインのTシャツやトートバッグが販売されています。実は令和7(2025)年10月からスタートした第1弾が大好評で、オープン前に行列ができるほどだったそう。
現在展開中の第2弾は、10周年らしくバースデーケーキをモチーフにした華やかなデザインです。梅田に来たついでに、ぜひのぞいてみてください。

また、一般から新しい大ぴちょんくんのデザインを募集するキャンペーンも実施されました。最優秀賞に選ばれた作品は、阪急梅田駅の動く歩道沿い、全長43mの巨大ポスターとして掲出される予定とのこと。どんなデザインが選ばれたのか、梅田を歩くのがますます楽しみになりそうです。
10年、ずっと見てきたつもりが、お腹の中のことは何も知りませんでした。次に梅田を歩くとき、あなたもちょっとだけ立ち止まって見上げてみてください。今日の空気は、何色ですか?
| スポット名 | 梅田 大ぴちょんくん |
| アクセス | 阪急大阪梅田駅下車 約7分 |
| 住所 | 大阪府大阪市北区角田町2-15 シログチビル【MAP】 |
| URL | https://www.ac.daikin.co.jp/pichonkun/9colors |
ライター
津曲 克彦(がりさん)
幼い頃から移動といえば「阪急電車」。マルーンカラーの車両とゴールデンオリーブカラーのシートにくるまれて育ってきた「阪急育ち」です。京都に行くときはもちろん、大阪梅田や神戸、お参りすることが多い清荒神までも阪急を利用するのがデフォルトです。でも、阪急沿線にはまだ降り立ったことのない駅もたくさん!TOKKでの取材を通じて、密かに「阪急全駅下車チャレンジ」を果たそうともくろんでいるのです。ウッシッシ。
梅田のランキング 2026.3.31 - 2026.4.6
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