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26.04.08
野村
大阪を拠点に関西のあちこちに出没する取材ライター。おもに京阪神エリアで取材しています。

「本棚には、その人の頭の中が表れる」と世間一般で言われることがありますが、もしそれを自由に『丸ごと覗ける場所』があったら……ちょっと気になりませんか?
大阪・池田市にある「ふるえる書庫」は、そんな気になる「個人の本棚」を丸ごと公開している私設書庫です。古民家を改装した空間いっぱいに並べられた蔵書を自由に読むことができるのだとか。さっそく、気になる「本棚」を大公開している「ふるえる書庫」を訪れました。

釋 大智さん
ふるえる書庫の管理、運営を行う。蔵書の持ち主・釈 徹宗さんの息子で、書庫のそばにある「如来寺」の副住職。自身も研究者で、親鸞聖人の教えや浄土真宗の歴史について研究している。書庫には大智さんの本も1割ほど並んでいる。
「ふるえる書庫」があるのは池田市古江町。周りには田畑が広がり、昔ながらの風情ある景色が残るのどかな場所です。住宅街の細い上り坂を登ると見えてくるのが浄土真宗の寺院「如来寺」。そのすぐそばに古民家を改装した「ふるえる書庫」があります。

こちらは如来寺の住職で、武蔵野大学の総長・釋 徹宗さんの本が並ぶ私設書庫。つまりは釋さんの本棚で、私物の本を公開している場所です。令和4(2022)年11月のオープン以来、多くの人が訪れています。
なんともユニークなネーミングの書庫。名前は「古江町」の『ふるえ』と、この場所を通して感情が揺さぶられるような体験をしてもらいたいという思いが込められているのだそうです。

個人の本とはいえ、一軒家を丸々書庫にしているなど、その数はかなり膨大。書庫の本棚には、さながら図書館や書店のような量の本がずらりと並んでいます。



「この書庫を作った当時で3万数千冊ほどの本があったと思います。オープンしてから年月が経っているので、今はそれよりも増えていますね」と、管理を行っている釋大智さん。家全体が書庫となるなど、個人の書庫とは思えないほどの規模を誇ります。さながら図書館や書店のようです。
「元々は家やお寺の本堂、父の研究室など、色々なところに本が点在していたんです。点在していると、読みたい本がすぐに見つからず不便で。じゃあ『一箇所にまとめよう』ととなり、お寺のそばの空き家を購入して書庫にすることになったんです」
そして「せっかくこれだけたくさんの本があるなら、みなさんに公開しよう」と、一般開放に踏み切ったのだそう。
というのも、本の持ち主である徹宗さんは、豊中市内で町の寺子屋「練心庵」を開いており、宗教学の講座やトークイベントなどを通して、たくさんの方との交流を行ってきたのだそう。
地元の池田市で「ふるえる書庫」を運営することで、「ここが地域の人たちと繋がるコミュニティになれたら」という思いも込められているのです。

3万冊を優に超える蔵書たち。これらの本は徹宗さんが20代のころから40年以上かけて読んできた大切な本です。
至るところに用意された本棚には、宗教学を専門とする学者の徹宗さんらしく、仏教に関する本、キリスト教やイスラム教など宗教に関する本を中心に、哲学書、新書、写真集、漫画や雑誌など、あらゆるジャンルの本が隙間なくぎっしりと並んでいます。


なかには「聖書の誤り」や「聖書の正しさ」など相反するタイトルの本もあり、徹宗さんがさまざまな角度から物事を見ていらっしゃる様子を本から見て取れます。
そして、本棚をよく見ると一般的な図書館のように、ジャンルごとに整理されているわけではないよう。「あえてジャンル分けせずに並べているんです。こうすることで思わぬ本との出合いがあったりするんです」。
その狙い通り、普段なら手に取らないジャンルの本が自然と目に入り、気づけばページをめくっている……ということが起こるのだそうです。
筆者自身も、普段ならまず手に取らない宗教書の前で足を止め、気づけば読んでみたい本のタイトルをメモ。「意外とこういう本、面白いかも」と、自分の興味の幅が広がっていく感覚があり、自分に対する新たな発見があったり、好奇心が刺激されたりと、ワクワクした気持ちになりました。
「出合うべくして出合う本もあるように思いますね。ここだから出合えた本や、このタイミングだから出合えた本ってあるので。ここでそういった体験してもらえたら何よりです」と大智さん。
40年以上前に出版された古い本も多く、本棚に並ぶ本の中には絶版になっている本も少なくありません。書店では出合えない本に触れることができるのも、個人の本棚の魅力です。

また、ちょっとした書き込みがあったり、付箋が貼ってあったりするのも、個人の本らしさを感じます。
大智さんも、「付箋や書き込みで、父がどう本を読んでいるのかが垣間見えます。また、父の考え方のルーツや、物事の捉え方などを、本を通して感じることもありますね」。ただ本を読むだけでなく、「その人の思考に触れる」という体験が、この書庫の一番の魅力なのかもしれません。
現在、週2〜3日ほどオープンしている「ふるえる書庫」。図書館ではないので、基本的には本の貸し出しは行われていませんが、書庫内に用意された座席や日当たりの良い縁側で、ゆっくり蔵書を楽しむことができます。


そんな書庫の店番を担っているのは、おもにふるえるメンバーシップのみなさん。
このメンバー制度とは、ふるえる書庫の活動を応援し、一緒に場づくりできるというもの。メンバーに加入(月額500円)すると、蔵書が借りられるほか、店番ができたり、限定コンテンツが配信されたり、一緒にイベントが企画できたり……さまざまな活動を共にすることができます。
メンバーには地元・池田市や川西市、宝塚市など近隣の方を中心に、秋田県や福岡県、東京都の方もいるなど、さまざまな地域の方がふるえる書庫の活動を支援しているのだそうです。
「色々なご縁があって、近隣はもちろん、遠方の方もメンバーとして支えてくださっています。今年は特にメンバーのみなさんともっと色々な活動やイベントを充実させたいと思っているんです。そしてこの場所や活動がもっと色々な人に届き、コミュニティとして深まっていけばうれしいですね」と大智さん。
本に出合い、本を読む場所でありながら、本を通して「人と繋がる場所」として、多くの人に愛されている「ふるえる書庫」。メンバーシップも募集中ですが、「ちょっと気になる」という方が気軽にフラッと立ち寄ることも、もちろん歓迎されています。
「気軽に来て、本に触れていただけるとうれしいです。ここに色々な方が来てくださることで、思いもよらないような化学反応が起こればいいなぁと思っているんです」と、大智さん。

気になる一冊を手に取り、静かな時間の中でページをめくる。そんなひとときを過ごしに、足を延ばしてみてはいかがでしょうか。本が好きな人なら、きっと琴線に触れる本が見つかるので、足を運びたくなること間違いなしです。
開館日やイベントなどについては、公式Instagramにて発信されているので、ぜひチェックしてください。
| スポット名 | ふるえる書庫 |
| 時間 | 11:00〜17:00 |
| 定休日 | 不定期開館(インスタグラムにて開館日を告知) |
| アクセス | 阪急池田駅→阪急バス中川原停下車 約10分 |
| 住所 | 大阪府池田市古江町451【MAP】 |
| URL | https://www.instagram.com/furueru_shoko |
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