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25.12.09
野村
大阪を拠点に関西のあちこちに出没する取材ライター。おもに京阪神エリアで取材しています。

令和8(2026)年に市制110周年を迎える兵庫県・尼崎市。節目の年を市民とともに祝うためのさまざまな取り組みが進んでいます。記念すべき110周年を飾るシンボルとして、今年の夏、「市制110周年のロゴマーク」が広く募集されました。ロゴマークを募集した理由をはじめ、市制110周年に向けた取り組みについて、市民や事業者、尼崎市の職員が一体となったチーム「あまがさき110ミーティング」の皆さんを取材しました。

「あまがさき110ミーティング」メンバー
市民や事業者から成る「あまがさき110ミーティング」の14名のうち2名と尼崎市職員が取材に参加。左から尼崎市職員の吉川真理子さん、安田健人さん、あまがさき観光局・事業部長の高村陽子さん、日本郵便尼崎塚口六郵便局の西田明生さん、「尼崎市職員の曽田研之介さん
尼崎市は大正5(1916)年、尼崎町と立花村の一部(東難波・西難波)が合併して誕生しました。
その後、昭和11(1936)年には小田村、昭和17(1942)年には大庄村・武庫村・立花村、昭和22(1947)年には園田村が加わり、現在の阪神尼崎駅を中心とした市域が形づくられてきました。
昭和11(1936)年の小田村との合併時に行われた式典日である10月8日が「市制記念日」に制定され、令和8(2026)年に迎える110周年記念行事では、10月8日から10日の3日間を祝賀行事期間として、さまざまな取り組みを行う予定です。

そんな110周年を祝うために進められているのが、「尼崎市市制110周年記念プロジェクト」。プロジェクトを支えるのは、市の職員、市民、市内事業者から構成される「あまがさき110ミーティング」の皆さん。行政だけでなく、市民や市内で働く人たちと共に周年事業を考えるために立ち上げられたチームです。
今年の夏には、このプロジェクトの一環として「市制110周年のロゴマーク募集」が行われました。
なぜロゴを公募することにしたのでしょうか。
市職員の安田さんは、「尼崎市は昔から、市民の皆さんや市内事業者の方々と一緒に取り組みを進めてきた自治体です。110周年のお祝いにも市民や尼崎市内で働く皆さんに参加していただきたいという思いから、ロゴマークを募集しました」と、経緯を教えてくれました。
令和7(2025)年7月1日~8月15日まで募集していたロゴは、商業施設や駅でのポスター掲示、市内の小学校へのチラシ配布などで告知がおこなわれました。また、「最優秀賞」以外にも「優秀賞」や「子どもデザイン賞」などの賞を設けたことで、大人だけでなく子どもたちにも参加してもらえるように工夫しました。
その結果、予想を上回る 313作品 が寄せられたといいます。

「ロゴの選考には、デザイナーの方など有識者も呼び、選定会議を行いました。選定時には、応募者の情報をすべて隠し、「応募作品とコンセプト」だけを見て審査させていただきました」と吉川さん。
その結果、最優秀賞に選ばれたのは、尼崎市在住の絵本作家 hossy nakkie(ホッシーナッキー)さん の作品。尼崎の伝統野菜「尼いも」「田能の里芋」「一寸そら豆」をモチーフにした、愛らしいロゴです。並びを見ると「110」の形になっており、選考委員満場一致で選出されました。

小学生の子どもが持ち帰ったロゴ募集のチラシを見たことをきっかけに応募したというhossy nakkieさん。実はご自身も尼崎の伝統野菜を守る活動をしているなど、尼崎愛に溢れた方です。
大賞を受賞した喜びには、「尼崎の伝統野菜、『尼いも』『田能の里芋』『一寸そら豆』が、笑顔で、仲良く手をつないで歩き出すイメージで作成しました。この3種の野菜たちは、尼崎市制110年より、もっともっと昔から育てられ、続いてきた歴史があります。
町の伝統野菜を育て続けることと、食することは、人々の心も、町の経済もうるおし、幸せにつながっていくと思います。尼崎市も、ずっとずっと人々に愛され、幸せな気持ち溢れる町であり続けることを願います!」と、話しています。
「今回のロゴにも使われているこれらの尼崎伝統野菜は、実は市民の皆さんが自主的に団体を作って守り続けているんですよ」と安田さん。
「特に尼いもは、一度途絶えてしまった過去があります。それを復活させるために市民の方々が奮闘し、復活させたものなんです」。



このように尼崎市は市民の皆さんが尼崎市を愛し、尼崎市に関わることに積極的に参加する姿勢が、今の尼崎をつくっているのです。
ロゴは市役所でステッカーとして活用されているほか、市内のカフェではロゴ入りのTシャツやトートバッグが販売されるなど、すでに活用の場が広がっています。



また、「尼崎市制110周年記念プロジェクト」では、来年に向けてロゴ以外にもさまざまな企画が進んでいます。「現在は、かつての尼崎の景色を振り返るために、市民の皆さんから昔の尼崎市の写真を募集しています」と吉川さん。
ここ数年、「阪神尼崎駅」や「阪急塚口駅」前がリニューアルし、平成31(2019)年には尼崎城が完成するなど、変化が著しい尼崎市。どのような変遷があったのか、歴史を辿る企画にするそうです。
「また、町を支えてきたのは人。人にスポットが当てられる展示をしたいと思っています。そこで尼崎の市民や事業者の方など、人にクローズアップしてこの10年がどんなものだったのかをインタビューする企画も進行中で、最近は尼崎市内でインタビュー取材をしています。
これらの企画をまとめて、来年パネル等で展示して、皆さんに見ていただく予定です」と、尼崎市役所の皆さんも意気込んでいる様子。
さらに、110周年を盛り上げる「PRソング」の募集もおこなわれています。安田さんによると、「コロナ禍以降、市内の文化活動の場が減ってしまったことから、今回の募集を通じて市内に活動の場を取り戻したい」という思いがあるそうです。
「尼崎は街への愛情が強い方が多く、市民主催のイベントがとても多いんです。週末には市内のどこかで必ず何かの催しが開かれています。110周年も市民の皆さんが“自分ごと”として楽しんでくださると思います」と、安田さん。
尼崎市民の皆さんの尼崎愛、また行政の皆さんもそんな市民の皆さんを心強く感じている様子が、とても印象的です。

10年前の100周年で行われた「10年後の自分に手紙を書く」という企画も、来年の配達に向けて動き出しています。平成28(2016)年に書いた手紙が、10年ぶりに市民のもとへ届けられる予定なのだそうです。
日本郵便の西田さんは、「10年前の手紙募集時には、想定の2,000通を遥かに上回る約4,000通もの手紙が集まりました。尼崎市の皆さんが、積極的に関わってくださることを民間企業である郵便局のメンバーも感じています。来年、この手紙をきちんと責任を持って届けたいですね」と当時を振り返りながら、配達への想いを話してくれました。
10年前の自分が、今の自分にどんな言葉を残していたのか。110周年の節目に、ドキドキワクワクする瞬間になりそうです。
来年110周年を迎える尼崎市ですが、「あまがさき110ミーティング」の皆さんが見ているのはもっと先の未来。
「ここで暮らす人、働く人が支え、歴史を作った。その方々に感謝を伝えたいですし、長く積み重ねたものを次へと繋げていきたいです」と安田さん。
市民とともに歩み、この先の100年へ向けて進んでいく尼崎市。周年事業を通じて市民の思いが再びひとつになることで、この街はこれからも成長し続けていくのだと感じました。
週末には尼崎市内にて、尼崎市民が主催するイベントも開催されているので、尼崎市のHPなどで情報をチェックしてお出かけしてみてはいかがでしょうか。
尼崎市のイベントカレンダーはこちら▶https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/event_calendar.html
ライター
2025.12.3 - 2025.12.9