尼崎 TOKK
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尼崎 TOKK
Rain
11.52
26.01.23
齋藤 賢一
高槻市出身・大阪市在住。編集者として広報誌や観光情報誌など多岐にわたる媒体を手掛けた経験を活かして独立。

明治維新ののち廃城となり、姿を消してしまった尼崎城。その天守が蘇ったのは、平成から令和へ時代が変わろうとしていた令和元平成31(2019)年3月でした。
今ではすっかり尼崎のシンボルとして定着。市内はもとより市外・県外から訪れる人も絶えません。その魅力とは一体? スタッフの方に案内してもらいながら城内を探索。歴史の逸話も交えながら見どころをレポートします。
阪神尼崎駅から徒歩5分。かつて城の外堀だった庄下川の近くに、4層の壮麗な天守閣がそびえています。では入口をくぐっていざ登城。

城内に入ると、スタッフの関さんが出迎えてくれました。

関さんは「尼崎は徳川幕府の重要な拠点だった」と話します。藩の中を中国街道と西国街道が通る交通の要衝で、大坂城を守る役割も担っていたのだとか。築城は幕府の命で元和4(1618)年に始まり、完成までに数年を要したといいます。
「城を築いた初代藩主の戸田氏鉄は、三河出身で徳川家康の小姓でした。信頼のおける人物にこの地を治めさせたかったのでしょう」と関さん。
当時の尼崎城は甲子園球場の約3.5倍の広さがあり、三重の堀に囲まれていました。天守は複合式で、石垣部を含めた高さは約30mもあったそう。
そんな天守閣も明治の廃止城令で解体。さらに石垣は尼崎港修築の際に石材として使われ、堀も時代とともに埋め立てられて、城の面影はほとんど消えてしまいました。なんとも残念な話です。
昭和以降、各地の城跡で天守が再建されました。尼崎でも城の復興を望む声はありましたが、予算の兼ね合いなどでなかなか実らなかったのだとか。
再建が実現したのは、旧ミドリ電化の創業者・安保詮さんの「創業の地に恩返しを」という思いから。私財で城を建て市に寄贈したいと申し出たのです。
実際の建設にあたっては、江戸中期に描かれた『尼崎城分間絵図』(櫻井神社蔵・尼信会館寄託)などを参考にしたそう。
「絵図に細かな寸法が記されていたので、忠実に再現することができました。このような資料が残っている城は珍しいんですよ」。

再建が発表されると、その思いに共鳴した人々からも「一口城主」や「一枚瓦」などで多くの寄付が集まりました。
関さんは「江戸時代に火事で本丸御殿が焼けたときも、城下の人々がお金や材木を寄付したり、人手を手配したりして再建に協力したんですよ」と教えてくれました。
それではいよいよ城内探訪へ。まずはエレベーターで5階まで上がります。扉が開くと木の良い香りが漂ってきました。
「展望ゾーンの板壁にはヒノキが使われているんです」。これはまさに癒しの空間。

市内が一望できる大きな窓の下には、ビル名などを記した写真解説パネルと、タブレット端末が備え付けられています。タブレットに映るのは、天守閣から見た江戸時代の城下。今と昔の風景が比べられる仕組みです。

「江戸時代、城の西は寺町でした。今も11ヶ寺が残っていて、節分会や宝物公開など色々な行事が催されています。訪れる人も多いですよ」と関さんは話します。

南側の窓からはかつての城主・櫻井松平氏を祀る櫻井神社が見えます。「春には桜が咲いてとても綺麗。お花見の人で賑わうんですよ」。
「かつて天守閣があったのはあの辺り」と関さんが指さすのは南東の方角。「本丸跡には博物館や小学校があるため、西三の丸跡に今の天守が再建されました」と説明してくれました。

再びエレベーターに乗って3階へ。4階は現在リニューアル中だそう。オープンは3月下旬の予定。さて何ができるかは「お楽しみに」とのこと。
3階は金色の襖を背景にした畳敷きの広間になっていました。ここは「なりきり体験ゾーン」。かつて尼崎城の本丸御殿にあった「金の間」をイメージした空間で、さまざまな時代装束を着て写真が撮れるフォトスポットです。

こちらは入場料のみで体験できるそう。親子でやったら楽しそうだなとか、海外から知人が来たら案内したいなとか、いろんな使い道が浮かんできました。
衣装は姫君のほか、陣羽織や紋付、裃などがあります。

兜も並んでいました。陣羽織とあわせると武将になれそうです。

尼崎は『忍たま乱太郎』の原作漫画『落第忍者乱太郎』の作者・尼子騒兵衛さんが生まれ育った町。ゆかりの地とあって忍者装束もそろっていました。

関さんは「忍者といえば、尼崎城主が忍びを使って情報収集していたという話があるんです」と教えてくれました。3代目城主・青山幸利の時代、忍目付を派遣して近隣藩の動向を探っていたのだそう。
城主自ら忍目付を呼び出して命じ、直接費用を手渡すこともあったとか。忍者は「忍ぶ」ものだけに、実際のエピソードが伝わっているのって珍しいかも。
ちなみに同フロアにはミュージカル『忍たま乱太郎』キャストのサイン色紙も飾られていました。

尼崎城を訪れるお客さんには、忍たまファンの女性客も少なくないそう。もしかして聖地化してる!?
2階に降りると壁一面が解説パネルになっています。尼崎城のつくり(縄張り)から、歴代城主、藩の位置づけや城下の産業まで濃厚な解説がぎっしり。

初心者にもわかりやすく、なおかつ深掘りした内容やこぼれ話まで記されていて、かなり読み応えのあるものに。ところどころ「?」マークで覆われているところがあり、めくると解説文が読める仕掛けも。

「お殿さま列伝」のところでは、歴代城主の家紋が押せるスタンプが設置されていました。
ひとつ気になったのは、戸田氏と松平氏の家紋が同じこと。尋ねてみると「偶然です」との答えが返ってきました。
このフロアにはバーチャル映像を用いたゲーム形式の体験コーナーも。


「体験はお子さんに好評です」と関さん。クイズや運試しもあって「クイズはちょっと難しいので親子でチャレンジするのがいいかも」とアドバイスしてくれました。
このほか、刀や鉄砲の重さを体感できるコーナーが。


刀は想像通りでしたが、鉄砲は思ったよりずっしりきます。鎧(よろい)を着た状態で持ち運ぶのはかなりの重労働だったのでは? 弓を引くときにけっこう力が必要なこともわかりました。

同フロアにあるVRシアターは幅約10mの巨大画面が広がっています。前半は桂米團治さんが江戸時代の尼崎城を案内する「蘇る尼崎城」。後半は現在、「ミュージカル『忍たま乱太郎』尼崎をご紹介の段」が期間限定で上映されています。

さて、城の1階まで降りてきました。1階は入場無料ですが、床に映像が投影されるコーナーなどいくつかの見どころがあります。

来城者に好評なのはやはりお土産コーナー。尼崎城のオリジナルグッズや尼崎の名産品などがずらりと並んでいます。

尼崎城で人気のおみやげ3選を教えてもらいました。
手焼きせんべいの店「中田屋」特製のもので、尼崎城の焼き印が押されています。3枚入りで価格もお手頃。

創業100年以上の老舗・ヒノデ阿免本舗久保商店の水飴。砂糖を使わずお米を原料に作られています。

とりわけお子さんに人気なのがこちら。職人さん手作りのボールラムネで、尼崎の新しい名物として定着しました。

尼崎にはよく行くものの、これまで城を訪れる機会がなかった私。今回の取材が初登城となったわけですが、想像以上に見応えがありました。「えっそうだったの?」「これ楽しそう!」の連続。知ってるようで知らなかった尼崎の一面に触れることができました。
特に親子連れや少しでも歴史に興味があるって方には強くオススメしたい。ちなみに城址公園ではいろいろなイベントも催されているので、ぜひ一度HPをチェックしてみてください。
| スポット名 | 尼崎城 |
| 時間 | 10:00~17:00(入城受付は~16:30) |
| 定休日 | 月曜日(祝休日の場合は営業・翌日休)、12月29日~1月2日 |
| 料金 | 大人500円、小中高生250円 |
| 問い合わせ | 06-6480-5646(尼崎城址公園管理事務所) |
| アクセス | 阪神尼崎駅下車 約5分。阪急塚口駅→阪神バスまたは阪急バス「阪神尼崎」停下車約5分 |
| 住所 | 兵庫県尼崎市北城内27【MAP】 |
| URL | https://amagasaki-castle.jp |
ライター
齋藤 賢一
編集プロダクションを経てフリーライターに。取材を通じて人の話を聞くのが好き。写真を撮るのも好きです。最近ハマっているのは美術館めぐり。今年も見逃せない展覧会が続々開催予定とか。かなり楽しみな一年になりそうです。
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