川西・池田 TOKK
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WEB版「TOKK」が「TOKK関西」にリニューアル
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川西・池田 TOKK
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-2.06
26.02.09
伊東 孝晃
1976年生。Webから紙媒体まで各種メディアにて原稿を執筆。対応ジャンルはエンタメ、グルメ、ビジネス系、旅行ガイドなど。

⽇本の社会課題の解決に取り組み、産業競争⼒の強化を推進する産業技術総合研究所(以下、産総研)は、全国に12の拠点を持ち、各拠点で独⾃の研究に取り組んでいます。今回は、⼤阪府池⽥市にある関⻄センターを訪ね、現在、取り組んでいる研究内容や、年に⼀度⾏われる⼀般公開について、所⻑代理を務める安⽥和明さんに話を伺いました。
産総研の歴史は、明治15(1882)年、前⾝となる地質調査所の設⽴から始まります。
その後、複数の研究機関が統合・再編され、平成27(2015)年に国⽴研究開発法⼈となる産業技術総合研究所が誕⽣。本拠地である茨城県つくば市のつくばセンターを中⼼に先進的な研究技術で経済や社会の発展に貢献しています。

関⻄センターは⼤正7(1918)年に創⽴された⼤阪⼯業試験所を前⾝とし、航空宇宙産業などに使われる軽量・⾼強度・⾼弾性な PAN 系炭素繊維(ポリアクリロニトリル繊維)、液晶ディスプレイの電極に不可⽋な透明導電膜(ITO 膜)など、さまざまな研究成果を上げています。
昭和41(1966)年に⼤阪市内から現在の所在地である池⽥市に移転しました。

取材にあたり、エネルギー・環境 領域⻑補佐で所⻑代理を務める安⽥和明さんに関⻄センターの特⾊や研究内容を教えていただきました。
「現在は、電池、バイオ製薬、ライフサイエンス、ガラスなどの材料研究を中⼼に⾏っています。電池は通信会社との連携で、空の上にある通信基地局⽤の軽量電池等を開発しています。ミドリムシから作る接着剤も開発しており、こちらは強⼒な接着⼒を持ちながら、200℃程度の熱で簡単にはがすことができ、環境に優しいという特性があります。今後、⾃動⾞の部品や建材など幅広い⽤途での⽤途が期待されています」

取材当日は、安⽥さんに施設内を案内していただきました。
光機能材料研究棟では、熱を使った発電の(熱電発電・TeC)に関する研究成果を紹介。材料基盤研究部⾨の⾸席研究員・⾈橋良次さんが研究内容を紹介してくれました。

⾈橋さんは、環境負荷の少ない酸化物を⽤いた熱電変換材料やモジュールに関する研究開発を主導しており、展⽰スペースには排熱を電気に変換する「熱電発電デバイス」を組み込んだ装置が多数展⽰されていました。

基礎融合材料実験棟では昭和 47(1972)年に松下電器産業株式会社、ダイハツ⼯業株式会社と協働で試作された⽇本初の電気⾃動⾞が産総研の歴史遺物として鎮座しています。
軽トラックの荷台に積まれた燃料電池は、⼤きさこそ現代のものよりかさばりますが、50 年前からすでに⼤気を汚さない、環境にやさしい仕組みを作り上げていました。

産総研 関⻄センターでは、毎年⼀般公開のイベントが⾏われています。令和7(2025)年は「研究、論より体験。」というタイトルが冠され、敷地内の 6 会場で研究室見学や講演研究体験、ワークショップ、謎解きゲームなど、さまざまな催しが⾏われました。

普段はなかなか⼊ることができない産総研で研究内容を体験できるとあり、当⽇は理系の学⽣や社会⼈、家族連れなど、約 1,400 ⼈もの⼈が訪れました。⼊場料無料ということもあり、普段、サイエンスに馴染みがない⼈も気軽に研究内容に触れられる貴重な機会となりました。

本イベントの最⼤の特徴は、産総研の研究者が多数参加し、来場者が直接対話できること。研究者が⾃分の⾔葉で研究内容を説明し、専⾨的なことから素朴な疑問まで、雑談のような距離感で会話に応じてくれます。

研究体験やワークショップも充実しており、電⼦部品であるキャパシタや紙基盤センサの製作、ロボットハンドの操作など、さまざまなコンテンツが 1 ⽇中、展開されていました。

こちらは研究者の⼈⽣を体験するすごろくゲーム。受付で冊⼦を受け取り、敷地内を巡り歩く謎解きゲームも好評を博しました。

関⻄センターでは令和8(2026)年も⼀般公開を予定しており、詳しい情報は公式ホームページに掲載される予定です。令和8(2026)年が産総研の設⽴25周年ということでアニバーサリー的な要素も期待されます。

産総研では、⼀般公開以外にも、サイエンスに親しんでもらいながら産総研ならではの多様性を目に見えるかたちで体感してもらえる取り組みを積極的に⾏っています。
こちらの「研究者カード」は「どういう研究者が発見した研究なのか」にも興味をもってもらえるよう顔写真と研究内容、好きな作業などが記されたカードで、研究者と直接会って質問した⼈だけがもらえるものとなっています。

このような「人」に焦点を当てた取り組みは⼀般公開でも。産総研で働く職員のプロフィール紹介「こうして私たちは理系になりました」は人気の高い展示でした。

敷地内でひときわ⽬を引くのが⼤型ガラス望遠鏡の主鏡として使⽤されたガラス鏡材。同時期に作られた姉妹鏡は、現在、京都⼤学大宇陀観測所にて現役で活躍しているそうです。このような産総研の歴史を⽰す研究材料が複数、野外展⽰されています(一般公開当日に見られます)。

⽇本の産業技術の発展を⽀え続けてきた産総研。全国の拠点に在籍する約 2,300 ⼈の研究者は、社会を豊かにするため、⽇々、未知の技術開拓に取り組んでいます。
今回の記事で興味を持った⽅は、ぜひ⼀般公開の情報解禁を楽しみにしておいてください。
関⻄センターでは、他にも技術関連のセミナーや講演を都度開催しているので、こちらも要チェックです。

| スポット名 | 産業技術総合研究所 関⻄センター |
| お問い合せ | 072-751-9601(代表) ※受付時間/月~金曜 9:30~17:30(祝日を除く) |
| アクセス | 阪急池⽥駅下⾞ 約10分 |
| 住所 | ⼤阪府池⽥市緑丘 1-8-31【MAP】 |
| URL | https://www.aist.go.jp/kansai/ |
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