長岡京・大山崎・向日 TOKK
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WEB版「TOKK」が「TOKK関西」にリニューアル
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長岡京・大山崎・向日 TOKK
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5.02
26.02.05
Mariko Takashima
京都を拠点に企画・編集・執筆を行う。

京都府・長岡京市から大山崎町に移転して、約10年になるサンクパン。宮本シェフは次なる新天地として令和8(2026)年1月に、亀岡市でセレクトショップをオープンしました。多くの人に愛され続けるサンクパンを訪ね、オープン時から変わらぬ魅力と、シェフの今の想いを取材しました。
店頭に並ぶのは、50〜60種類のパン。バゲットやカンパーニュなどのハード系を中心に、カヌレやガトーショコラなどのスイーツ、キッシュやサンドといった惣菜系など、実にさまざまな種類が揃います。

ベーカリーの朝は大忙しのイメージがありますが、サンクパンにはどこか穏やかな時間が流れているから不思議です。窓辺でモーニングをとるお客さんも、一人でコーヒーを味わったり、ゆっくりとおしゃべりを楽しんだり、思い思いの時間を過ごします。

今日はお好みのパンと一緒に、京都・長岡京市発のコーヒーロースター「ウニールコーヒー」のホットコーヒーを注文。イートインでは豆から挽いた淹れたてのコーヒーがいただけます。

オープン時は背が低かった植栽も、いつしか窓を覆う高さに成長。木々の緑が、店内にきらきらと木漏れ日を落とします。
パンを食べている間に、気づけば時間を忘れてのんびり……。

お店全体が持つゆっくりとした時間の流れは、サンクパンのおいしさの秘密とつながっています。

サンクパンの一番の特長は「熟成・発酵」の過程にあると言います。
シェフが大切にしているのは、イースト菌をできるだけ使わず、天然酵母で約10時間かけてゆっくりゆっくり熟成・発酵させること。パン生地に無理をさせず、できるだけ自然に膨らませていくことで、小麦粉が持つ味わいがしっかりと感じられるそうです。
シェフは、パン作りを「子どもを育てることに似ている」と話します。
「付きすぎず離れすぎず、常に気にかけて見守ること。季節によって暑かったり寒かったり、私が感じる変化はパンも感じているので、常に快適な状態を保つ工夫をしています。また、イースト菌は一気に膨らませるには便利ですが、人と一緒で無理をさせると素材が本来持っている味や香りが損なわれてしまいます。手間はかかっても、これだけは変えられないこだわりです」

シェフがお店に来るのは深夜の1時。オーブンを温めて一晩熟成させたパンを焼き始め、お店をオープンするのは朝8時。開店作業が一通り終わったら、そのまま次の日の仕込みに移ります。
その工程はとても大変ですが、パン生地の変化をじっと見守る姿勢が、お店に流れる空気を生んでいるように感じます。

長岡京市の小さなお店からスタートしたサンクパン。シェフは平成28(2016)年、この場所で、イートインやセレクト食品の販売スペースを備えたお店をリニューアルオープンしました。

ゆったりとした店内には、チーズ、ジャム、ジュース、ワインなど、パンに合うフードやドリンクも並んでいます。

それらは、シェフが作り手の方に実際にお会いして、一つひとつセレクトした日本産のものが中心。充実した品揃えに、初めて来る人はちょっと驚くかもしれません。
「パンを買いにきたついでに、ワインを1本でも、ジャムを1つでも、ついでに買っていく……。小さなことですが、暮らしが豊かになるきっかけを提供できたらうれしいです」
パンを買いに来たはずが「どんな組み合わせで食べようかな? 家にある食材にも合うかも!」……と、気づけば食卓を思い浮かべてわくわく。ここは、予想外の出合いにあふれています。

京都・奈良を中心に、いくつもの有名レストランにパンを卸すほど人気のサンクパンですが、令和8(2026)年1月、シェフは新たな挑戦として器やカトラリーなど、日用品を中心に扱うセレクトショップ「華土(かど)」を亀岡市でオープンしました。

店名には「人の心を明るくする華」と「すべてのいのちの根を育む土」、二つの意味が込められています。
お店に並ぶのは、華やかさと土のぬくもり、暮らしには欠かせない両方を兼ね備えた日用品たち。

「最近はどんなものも安く手に入りますが、ものを簡単に買っては使い捨てる暮らし方には違和感があります。少しお値段は高くても、日本各地の手仕事から生まれたものを一生大切に使うようなものとの付き合い方を提案できればうれしいです」


一度にたくさん生産・消費はできないけれど、じっくりともの・ことに向き合う豊かさは、シェフのパン作りの姿勢にも通じています。パンから食卓へ、食卓から日常へ。パンを起点に、暮らしへの視点が広がっていきます。
「人生は一度きり。大変ではありますが、後悔はしたくない。やりたいことを形にしたいと思っての挑戦です」とシェフ。
10年以上、パンに向き合い続けたシェフが選ぶ一品に出合うため、亀岡の地に行く楽しみができました。
今回、大きなフォンダンショコラとクロワッサン、青森産のリンゴジュースをおやつ用に、食パンやハード系のパンを次の日の朝ごはん用に買いました。
楽しみがあると、仕事や家事もがんばれます。


サンクパンはパンを起点に、暮らしへの向き合い方をそっと変えてくれるお店でした。
| スポット名 | CINQ pain(サンクパン) |
| 営業時間 | 8:00~17:00 |
| 定休日 | 月・火・水曜 (月曜祝日の場合は営業) |
| 問い合わせ | 075-874-4159 |
| アクセス | 阪急西山天王山駅下車 約20分 |
| 住所 | 京都府乙訓郡大山崎町字下植野小字宮脇114-9【MAP】 |
| URL | https://cinqpain.com/ |
| スポット名 | 華土(かど) |
| 営業時間 | 10:30〜16:30 |
| 定休日 | 火・水曜(月曜祝日の場合は月・火・水曜) |
| 問い合わせ | 0771-55-5685 |
| アクセス | JR千代川駅下車 約40分 |
| 住所 | 京都府亀岡市河原林町河原尻高野垣内56-1【MAP】 |
| URL | https://kado-kyoto.com/ |
ライター
Mariko Takashima
幼い頃から関心の強かった環境問題に携わるため、2025年~循環型の社会づくりに取り組む企業のPRに所属。フリーランスとして編集活動を続ける。つくるものは、雑誌・書籍・Web・SNSなど媒体問わず。かつてTOKK(本誌)の制作に携わっていたことも。
長岡京・大山崎・向日のランキング 2026.1.29 - 2026.2.4
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