岡本・御影 TOKK
Rain
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岡本・御影 TOKK
Rain
12.16
26.01.28
児島 奈美
関西の編プロに在籍後、神戸を拠点に国内外で取材・撮影・執筆。仕事とプライベートで40カ国以上渡航。

阪急神戸線岡本駅の改札を抜けると、人気の街「岡本」があります。
そして「岡本といえば石畳」「石畳といえば岡本」といわれるように、「石畳」がこの街独特の上品な雰囲気をつくり出しています。
経年劣化による改修工事中の今、改めて「なぜ岡本が石畳の街になったのか?」「改修工事でどうなるのか?」など、石畳について岡本商店街振興組合に話を伺いました。
岡本の石畳は、かつては一般的なアスファルトの舗装路でした。
平成7(1995)年1月の阪神・淡路大震災で被災し、翌年7月に岡本商店街美装化が計画されました。
復興のシンボルが「石畳」だったのです。石畳が選ばれた理由の一つは、ある理事がドイツを視察した際、石畳の街並みに感銘を受けたからといわれています。

その後も南京町や奈良などへ視察し、協議を何度も重ね、岡本で230年以上続くだんじり町挽きに石畳が負けないよう強度試験なども実施し、満を持して平成10(1998)年3月から工事が始まりました。

石畳が完成したのは平成11(1999)年3月です。天然のさくら御影石が惜しみなく使われ、その総全長はなんと約3,000mに及びました。

石畳によって商店街にも一体感も生まれ、おしゃれな街としても注目されるようになりました。
岡本で出店することが夢という店舗も増え、カフェやレストラン、ブティック、雑貨店、ヘアサロンなど、多い時には岡本商店街に加盟する約300店を中心に、多くの店舗が軒を連ねにぎわいました。
当時は岡本の情報誌も出版され、読者モデルが岡本の街並みを背景に撮影もしていたそうです。

令和2(2020)~令和4(2022)年のコロナ禍の影響や、地価の上昇などに伴い、現在加盟店は約160店に半減するなど、岡本の店舗全体に影響を及ぼしました。
しかし、90年以上レンガ窯で焼くパン屋さん、石畳をモチーフにしたスイーツを販売する洋菓子屋さん、百貨店の催事でも好評の布屋さんなど、岡本へ足を運びたくなる魅力的な店が多数あります。

岡本の街の魅力は、三宮にも大阪にも好アクセスで、阪急とJRの2路線が選べるという立地のよさに加え、山にも海にも近い恵まれた自然、そして石畳の街がかもし出す品の良さだといえます。
「街を行き交う人は、若い方も年配の方もおしゃれな人が多いですね。また、本山第一小学校、本山第二小学校、本山中学校、甲南大学、甲南女子大学、神戸薬科大学など学校も多いアカデミックな街並みには学生だけでなく、ファミリー層も多く住んでいらっしゃいます。
だんじりやハロウィンなど街のイベント時には、たくさんの子どもたちでにぎわいますよ」と、岡本の街の方々からは優しい笑顔がこぼれます。
街を清掃したり、花を植えたり、岡本が好きで貢献したいという人も多いそうです。
JR摂津本山駅の開業もその一つでしょう。
岡本は古くから梅の名所として知られ、明治7(1874)年に大阪~神戸間の国鉄(現JR)が開通後、梅が満開の時期には臨時停車場ができたといいます。

時期が終わっても駅を置いてほしいと鉄道省へ嘆願したところ、当時はのどかな農村だったため、「人より牛や馬が多いところにはつくれない」と断られました。
岡本の地主たちは、自分たちの田畑をつぶして長屋をつくり、他地域から人を呼んで課題を解決しましたが、次は「駅前には人が集まる広場がないからつくれない」と断られることに。
しかし、駅前の土地を持っていた地主が国鉄に無料で土地を提供したため、昭和10(1935)年、ついに駅が開業したそうです。

「地元のみなさんは、岡本愛が強いと思います」と語るのは、岡本商店街振興組合の副理事長、池澤慎哉さんです。
池澤さんは明石市出身で、歯科医として独立するにあたって阪神間で物件を探していて、偶然に岡本で見つかり、平成30(2018)年に医院を開業しました。

「岡本は、三宮や芦屋などとは異なる独特の品格があると思いました」と池澤さん。東京でいえば、トレンドの発信地である渋谷ではなく、上品な住宅地の白金や自由が丘に似ているとか。
街になじんでくるにしたがって、感じるようになったこともありました。
岡本という街のブランド力の高さです。
「どこの出身か聞かれた時、神戸の人は『兵庫』ではなく『神戸』と答えることが多いように、岡本の人も『兵庫』や『神戸』ではなく、『岡本』と答える人が多いんです(笑)。
つまり、それだけ住んでいる方や働いている方の岡本への愛が強く、岡本ブランドに誇りを持っているということ。

一般的にブランドには、エルメスのオレンジ、ティファニーのブルーといったイメージカラーがあります。
そんなブランドカラーに相当する岡本の共通イメージであり象徴が“石畳”ではないでしょうか。
石畳が敷かれた街は少ないため、大きな価値があると考えています」
石畳は20年以上経ち、欠けやがたつきが目立つようになりました。年配の方がつまずく、車いすやベビーカーが利用しにくいなどの問題も発生しています。
池澤さんも「台車で物を運ぶ時、激しい振動ですぐに商品が飛び出すんです」と苦笑い。

神戸市により令和2(2022)年5月から、メインストリートの岡本坂やフェスティバル通りで石畳の改修工事がスタートしました。
今後はフェスティバル通りの東側を工事し、その後、郵便局前のように石畳風のライン加工を施すそう。


「世の中には、変わる良さと変わらない良さがあり、両方大切だと思っています。岡本では店やビルは変わっても、石畳のある景観は変わりませんでした。
今回の改修工事では、やさしい街を実現するために、石畳は平らな舗装路に変わります。しかし、石畳“風”になりますが、子どもや孫の世代にも“石畳”を残していきたいです」と池澤さんは語ります。
岡本の街に石畳のストーリーがあるように、岡本のお店にも一軒一軒ストーリーがあると信じる池澤さん。
ストーリーを掘り起こし発信することで、新しい石畳の街に活気も取り戻したいと望んでいます。
| スポット名 | 岡本の石畳 |
| 問い合わせ | 078-412-3096(岡本商店街振興組合) |
| アクセス | 阪急岡本駅下車 約5分 |
| 住所 | 兵庫県神戸市東灘区岡本【MAP】 |
ライター
児島 奈美
学生時代に中型二輪で北海道・信州・九州を巡った昔ライダー、今ライター。アメリカをキャンプしながら約1カ月かけて横断後、大阪の編集プロダクションに入社。関西の情報誌と海外の旅行ガイドブックを主に制作。飲食店、ショップ、観光スポット、宿泊施設などを幅広く取材。城、昔町、電車旅なども得意分野。退職後に欧州を3ヶ月放浪して独立。ベトナム・ホーチミンで、雑誌立ち上げと人材育成に携わった経験も。
岡本・御影のランキング 2026.2.18 - 2026.2.24
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