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11.08

小説「阪急電車」で知られる武庫川中洲の石積みの「生」は阪神・淡路大震災のレクイエムのための作品です。 【宝塚 「生(せい)」の祈り2026】 1月16日17:00から

26.01.13

中島 美加

中島 美加

生まれも育ちも甲子園。書くことが大好きで、大学4回生からライター業をスタート。

小説「阪急電車」で知られる武庫川中洲の石積みの「生」は阪神・淡路大震災のレクイエムのための作品です。 【宝塚 「生(せい)」の祈り2026】 1月16日17:00から
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以前、このマガジンで紹介した、有川ひろさんの小説「阪急電車」で大事なアイテムとして登場する武庫川の中洲の「生」の文字。気になって小説を読み直しました。さまざまな人間模様が描かれたなか、通学電車で大学生のふたりが「生」の文字をきっかけに出会い、カップルになるというほのぼのストーリーがありましたね。

ここに書かれている「生」は、2005年の初代。実際、有川さんの旦那様が通勤途中に発見して有川さんに教えてのだそうです。そしてその「生」の文字は、小説の後半に書かれているように、月日の流れで消えてしまいました。その初代を作った方を取材ができて、貴重なエピソードを聞けたのでここでご紹介しますね。

ここ数年、年末に石積みボランティアによって再生された「生」の文字をライトアップして、阪神・淡路大震災の犠牲者の追悼儀式が行われています。今回は昨年12月6・7日に声かけで集まった有志によって「生」の石積みが行われ、1月16日17:00からセレモニー「宝塚【生(せい)】の祈り」が開催されます。イベント会場になるのは、宝塚大橋の南詰の西側。金属製「生」のモニュメント前です。

プログラムは生の文字をライトライトアップし、今年はクロマチックハーモニカ奏者南里沙さん、トランペット奏者後藤悠介さんの演奏、元宝塚歌劇団花組娘役の歌手絵莉千晶さんの独唱などが予定されています。震災発生時刻の12時間前にあたる17:46には黙祷を捧げます。

「31年前、あの地震で宝塚では119名の尊い命が犠牲になりました。1.17前夜に震災犠牲者を追悼するとともに、震災を知らない世代の人が命の大切さや生きることの意味を考えてくれる機会になれば」と主催者である「記憶の中の「生」再現プロジェクト」の代表である大野良平さん。実はこの「生」の石積みの元祖は、この大野さんの作品でした。

大野さんは宝塚出身の美術家。震災後10年にあたる2005年に、再生されつつあるものの、まだ震災の爪痕残る大好きな宝塚に対して「街や人々の心は戻ったのか」という問いかけの想いと真の再生を願い、石を積む作品にとりかかりました。奥様に橋の上からサイズ感やバランスを見てもらいながら、横10m、奥行20mの巨大な製作物となったそうです。本当は「再生」と描きたかったところ、先に作った生が大き過ぎて再の字が入らなくなったそうですが、一文字のインパクトが強く、結果、よかったと思いますよね。

↑ 大野さん一人で作り上げた初代「生」。奥様撮影

その初代「生」は、震災前夜に芸術家仲間と共にハロウィンの仮装パレードさながら灯りを持って街を練り歩き、中洲へ降りて懐中電灯を並べて「生」をライトアップして追悼の儀式としたのだそう。おもしろいのが、そこからのエピソード。儀式後に、河原へ撤収に行くと、数名の警官と近隣の住民が待ち構えていました。その頃、新興宗教がいくつかできて、世間を騒がせていました。そこで、変な儀式をする宗教団体では、と不審がられたというのです。「しかも、その頃の私は髪を長く伸ばし髭を生やしていて、いかにも教祖といった風貌でね」と、大野さんは茶目っ気たっぷりに話されます。この時、この「生」は震災10年のレクイエム作品、一回きりの作品と思っていたといいます。

↑ 今は残念ながら(笑)長髪と髭はすっきりしている大野良平さん。

大野さんのもと、宝塚市から「また作ってほしい」と依頼が舞い込んできたのが、2010年のこと。小説「阪急電車」の映画が公開され、阪急沿線の多くの逸話が盛り込まれているなか、この「生」に対する問い合わせも多かったといいます。そこで、ぜひ、宝塚市を盛り上げるためにも復活させてほしいと行政から頼まれたそうです。大野さん自身の作品としては、2005年に完結したもの。なので、これからは市民の人と積み上げて、みんなの作品にしようという結論を出して、2010年の秋に市民団体「記憶の中の「生」再現プロジェクト」を立ち上げ、「生」が再現されたのでした。

↑ 二日間、延べ160名で再現された今年の「生」

積んだ石は一年の間に、大雨などでほぼ消滅してしまいます。そこで「記憶の中の「生」再現プロジェクト」が毎年12月に石積みの呼びかけをしています。今年は海外からの留学生も約40名参加してくれたそう。

↑ 12月18日付読売新聞でも留学生の参加について紹介されました。

↑ 大野さんのインスタグラムより。16日にクロマチックハーモニカを演奏する南里沙さんも家族で石積みに参加されたそう。


大野さんの信条は「形あるものはいつかは消え失せるけれど、ひとの想いは永遠に残る」だそう。「中洲の「生」は大雨で増水するたびに流されてしまいますが、想いがあれば何度でも再生できる。その言葉どおり、多くの市民の皆さまに支えられ消失と再生を繰り返しているのが何よりの証」ということでしょう。「生」の誕生エピソードから再生のエピソードを聞くと、それこそ「阪急電車」のB面のようで味わい深いものでした。次は石積みからこのプロジェクトに関わってみたい…そう思いませんか。

イベント名宝塚「生」の祈り2026
期間1月16日(金) 17:00~20:00
料金
イベントURLhttps://ja-jp.facebook.com/seisaigenproject/
店舗・施設・スポット名宝塚大橋南詰西側「生」モニュメント前
時間
定休日
問い合わせ先080-1437-3811
(記憶の中の「生」再現プロジェクト)
アクセス阪急宝塚南口駅下車 約2分
阪急宝塚駅下車 約12分
住所宝塚市南口2丁目14【MAP
公式URLhttps://ja-jp.facebook.com/seisaigenproject/

  • 掲載店舗や施設の定休日、営業時間、メニュー内容、イベント情報などは、記事配信日時点での情報です。新型コロナウイルス感染症対策の影響などにより、店舗の定休日や営業時間などは予告なく変更される場合がありますのでご了承ください。また、お出かけの前に各店舗にご確認いただきますようお願いいたします。
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中島 美加

宝塚ライター

中島 美加

生まれも育ちも甲子園。書くことが大好きで、大学4回生からライター業をスタート。卒業後は当時、 冊子スタイルだった「TOKK」のライターとして、執筆していました。

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