宝塚 TOKK
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宝塚 TOKK
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26.01.30
笹間 聖子
フリーランスライター/編集者。大阪を拠点に東洋経済オンライン、プレジデントオンライン、AERAデジタルなどで執筆。

宝塚歌劇大劇場や手塚治虫記念館など、多彩な文化を発信する街 宝塚。その宝塚に、地域密着のコミュニティFM局があるのをご存知でしょうか。その名も、エフエム宝塚。令和7(2025)年9月で開局25周年を迎えた同局は、災害情報から地域の話題、カラオケ大会まで、宝塚の「今」を届け続けています。一体どんなラジオ局なのか、魅力を探りに行ってきました。
阪急逆瀬川駅から立体通路を歩いて3分、駅前の商業ビル「アピア2」の中にエフエム宝塚のスタジオはあります。

スタジオはガラス張りで、お買い物ついでにもちょっと覗けそう。この日も熱心に聞いていらっしゃる男性がいました。

取材に答えてくださったのは、同局の白井康子さん。
まずエフエム宝塚の特徴を伺ったところ、「しっかりとした番組構成と地域の声・人の温度が伝わる放送局」とのこと。
番組数が約30もあり、いずれの番組もクオリティが高い。それを証明するのが、壁一面に貼られた賞状。近畿2府4県のコミュニティFM局が対象となる「コミュニティ放送賞」で、毎年さまざまな賞を貰っているそうです。「表彰状の数は、近畿で一位なんですよ」と白井さんは微笑みます。
このクオリティを支えているのは、番組制作のスタッフたち。パーソナリティやディレクター、サポーターを合わせると、約100人が携わっているそうです。

「パーソナリティだけをとっても、市民の方もいれば、タレント、落語家や宝塚歌劇のOGなど幅広いです。スポンサーさんご自身が喋られる番組もあるんですよ」

オーディションも年に1〜2回開催しており、同局が主催するアナウンスセミナーの卒業生が応募することも多いといいます。
宝塚歌劇団OGで、宝塚市内はもちろん、全国、全世界へとエフエム宝塚をPRする大使「エフエム宝塚アンバサダー」である梓晴輝さんもコメンテーターの一人。出演番組には全国の“ヅカファン”から熱いメッセージが届くそうです。

「数ある番組の中でもいま注目は?」と尋ねてみたところ、毎日10時半からの帯番組「たからづか8丁目35番地」木曜日11:15から放送している「白米担当大臣」のコーナーをおすすめされました。
パーソナリティの茶木詩音さんが、さまざまな品種のお米をスタジオで炊いて試食したり、米の産地を取材したりと、お米に特化した情報を届けています。

茶木さんは、お米のエキスパート『米・食味鑑定士』の資格も持っていて、名刺もお米粒の形にするほどのこだわりよう。
実は茶木さん、中学生の時に職業体験でエフエム宝塚を訪れたことがきっかけでラジオの世界へ入ったそうです。「大好きだったお米の情報に特化して発信する」というユニークなスタイルが注目を集め、令和6(2024)年には、前述の「近畿コミュニティ放送賞」情報・教養番組部門で優秀賞を受賞されています。
また、金曜8時30分から、落語家 笑福亭瓶吾(ビンゴ)さんがパーソナリティをつとめる「笑福亭瓶吾と愉快な仲間たち」も人気番組のひとつ。その名物は「鼻歌クイズ」です。瓶吾さんが鼻歌を歌い、リスナーが曲名を当てるのですが、これが見事に分からないそう。
「長年続けているんですが、私もいまだに全然分かりません。そのクオリティを変わらず保っているのがすごいところです(笑)。毎回、リスナーさんからたくさんの回答が届きますよ」
かつて宝塚に住んでいた世界的漫画家 手塚治虫の作品を紹介する番組「治虫くらぶ」も人気です。あるときパーソナリティが、「この作品の終わり方が私には理解できなくて。皆さんどう思います?」と投げかけたところ、リスナーからさまざまな解釈が届き、ラジオを通した“読書会”のような盛り上がりを見せたこともあったのだとか。

エフエム宝塚が開局したのは25年前、平成12(2000)年9月のことです。きっかけは平成7(1995)年に起きた、阪神・淡路大震災でした。このとき、「通信手段のなくなりやすい災害時、地域に密着した情報を届けたい」と、各地でコミュニティFM局が立ち上がったのです。
宝塚市も開局を目指して申請していましたが、伊丹空港が近く電波状況が悪くなりやすいこともあり、なかなか国の認可が下りなかったのだそう。平成12(2000)年、震災から5年遅れてようやく開局となりました。
「狭い範囲にしか届かないからこそ、『小学校で炊き出ししています』『給水車が来ています』といった、きめ細やかな情報が届けられる。それがコミュニティFMの強みです」
とはいえ、普段は「83.5MHzに合わせたらエフエム宝塚があるんだ」と知ってもらえるよう、地域の情報を中心とした番組作りを心がけているそうです。

コミュニティFMの活動は、スタジオの中だけにとどまりません。たとえば、毎年、予選2回と決勝1回を開催している「宝塚歌謡選手権」は、スタジオ隣のアピアホールで開催する本格的なカラオケ大会。参加者は毎回約100名にのぼり、鹿児島や名古屋から参戦する人もいます。

この大会、生演奏で歌うシャンソン部門があるほか、「宝塚歌劇・ミュージカル・アニメソング部門」もあるのが宝塚らしいところ。宝塚歌劇のコスプレをした参加者が登場することもあるそうです。しかも、出場者全員の歌唱を後日ラジオで放送するというから太っ腹! コミュニティFMならではの楽しみです。
また、過去には、宝塚市制60周年を記念して、武庫川河川敷で「1万人のラインダンス」に挑戦したことも。ギネス世界記録を狙って約4,500人が一列に並び、ラジオから流れる音楽に合わせて踊ったそうです。

「何キロにも渡って手をつないで並ぶので、50mおきにラジオを置いて、その音に合わせてみんなで踊りました。当日の朝まで大雨で大変でしたが、橋のない小川には自衛隊が橋を架けてくださって、なんとかギネス記録を達成できました」
このようなイベントで地域の人たちと交流を深め、「エフエム宝塚」の名前を少しずつ覚えてもらっているそうです。今では「宝塚でイベントといえば」と思い出し、主催ではないイベントについての問い合わせが入ることもあるのだとか。

25年の歴史の中では、地域の子ども達との絆も深まっています。小学生が作文を朗読するコーナーや、中高生のクラブ活動を取材する番組があるからです。
エフエム宝塚のパーソナリティは例年宝塚市の成人式の司会を務めているのですが、かつての子ども達が成長し、声をかけに来てくれることも。
「『小学生の時に作文読みました』『クラブ活動の取材をしてもらいました』なんて言いに来てくれるんです。うれしいですよね」
令和7(2025)年夏には、小学生が天気予報を読むワークショップを初開催したところ、10名ほどの枠に100名以上の応募があったそう。地域に親しまれる存在であることがよく伝わってきます。
これからについて尋ねると、
「宝塚は、歌劇場へ向かう華やかな人々と、日常を暮らす人々が自然に溶け合う素敵な街です。この空気感を、そのまま届けていきたいですね。これからもリスナーさんと一緒に年を重ねていけたらいいなと思っています」とにっこり。
宝塚近郊にお住まいの方は一度、83.5MHzにラジオを合わせてみてはいかがでしょうか。遠方の方は、インターネットラジオ「サイマルラジオ」「Radimo」でも聴けますよ。お気に入りの番組がきっと見つかるはずです。

| スポット名 | エフエム宝塚 |
| 問い合わせ | fm@835.jp |
| URL | https://835.jp/ |
| 周波数 | 83.5MHz |
| 放送エリア | 宝塚市と伊丹市、川西市、池田市、箕面市、豊中市、吹田市の一部 インターネット視聴 サイマルラジオ、Radimoで全国から視聴可能 |
ライター
笹間 聖子
モットーは「知られざる営みに光を当てる」。おもなジャンルは企業ストーリー、ビジネス、幼児教育、発酵。規模の大小を問わず、ユニークな経営哲学を持つ経営者の取材を得意とする。
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