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26.02.25
あさき
阪神間で暮らして約20年の地域密着ライター。旅や南の島、海、犬、植物、音楽をこよなく愛する関西移住人です。2016年から執筆活動を始め、阪神間で出会った人や地域の魅力を暮らし目線で発信しています。

パンで有名な「神戸屋」は、神戸屋レストランをはじめ、神戸屋キッチン・神戸屋フレッシュベーカリーなど、長年愛され続けている総合ベーカリーメーカー。社名のとおり関西発祥の老舗のパン屋さんですが、「神戸屋」という名前でありながら、実は神戸ではなく大阪・豊中に本社を構えているとか? また、近年はさまざまな事業にも挑戦しているようです。
今回は訪ねたのは、株式会社神戸屋の経営戦略ディビジョン・経営戦略グループのグループマネージャーである、飯田ふみさん。神戸屋の本社が大阪にある理由と、神戸屋がパンを作り続けるうえでのこだわり、今挑戦している取り組み、今後の展望まで詳しい話を伺いました。
株式会社神戸屋は、創業から100年以上の歴史を持つ老舗パンメーカー。社名に「神戸」とあるのに、本社が「大阪」にあるのはなぜか? 不思議に思う方も多いのではないでしょうか。
その理由について飯田さんに伺うと、神戸屋の創業者・桐山政太郎氏は、もともと神戸のパン屋に勤めており、当時の神戸に多かった外国人居留者向けに主に食パンを製造していたといいます。
「この神戸のおいしいパンを、舌の肥えた大阪の人々にも食べてほしい」。そんな強い思いのもと、桐山氏は阪神電車で神戸から大阪へパンを運び、行商として販売を始めたそうです。やがて大阪での販売量が増え、神戸からの運搬だけでは追いつかなくなり、大阪での独立を決意。大正7(1918)年、大阪・出入橋(現在の西梅田)で「神戸屋合資会社」を創業しました。

社名の「神戸屋」は、神戸が当時“パンの代名詞”といえる存在だったことや、桐山氏にとって原点の地であったことなどを背景に、パン屋をイメージして名付けられたそうです。
さらに、本社が大阪・豊中にある理由を尋ねると、「もともとは大阪市東淀川区に工場併設の本社を構えていましたが、令和5(2023)年に包装パンの製造販売事業などを譲渡したことを機に、現在の大阪府豊中市へ移転しました」と飯田さん。
現在の本社近くには、神戸屋レストラン「神戸屋 石窯ブレッドラブ豊中店」も展開。スペイン産の石窯で焼き上げたパンをはじめ、厳選素材を使った料理を楽しむことができます。

100年以上にわたり丁寧なパン作りを続け、培ってきた製パン技術を活かした商品を届けている神戸屋。では、どのようにパン作りに向き合っているのでしょうか。
飯田さんは「パン作りを支える“技術”を磨いていることが、一番のこだわり」だと話してくれました。
現在の神戸屋の事業には、大きく3つあります。
1つ目が、機械で冷凍パン生地を製造する「冷凍事業」。スーパーのインストアベーカリーやサービスエリア・パーキングエリアなどに、冷凍状態の商品を卸しています。
2つ目が、直営店舗の神戸屋レストランや神戸屋キッチンなどを展開する「直営事業」。
そして3つ目が「オンライン事業」で、神戸屋のオンラインストアや、冷凍パンのサブスクリプションサービス(毎月PANDA!)を提供しています。
飯田さんによると「いずれの事業も、機械で作るか手作りかに関わらず、『パン作りの技術』が基礎となっている」と教えてくれました。
神戸屋のパン作りの技術力は、パンの世界大会「ベーカリー・ワールドカップ」において、同社社員が日本代表として出場し、優秀な成績を収めていることからも、世界的に高く評価されています。
また、その技術力を次世代へ受け継いでいくための取り組みとして、パン職人による社内講習会を定期的に実施。開発メンバーに限らず、店舗部門、営業部門、製造部門のメンバーも参加しています。

そして、見せるために作られた芸術作品「飾りパン」も、神戸屋の高い技術力を象徴する取り組みのひとつ。平成6(1994)年のベーカリー・ワールドカップにおいて、同社社員が出場した「飾りパン部門」で優勝したことをきっかけに、日本国内でも広く知られるようになりました。


神戸屋では、飾りパンの制作や世界大会への出場といった挑戦も含めて、特に「技術力を磨く」ということにこだわりを持って、パンを作り続けています。
そういったパン作りの技術力を高めながら、神戸屋では全ブランドを通じて毎月約15品の新商品を販売。店舗の業態によって品数は異なりますが、多い店舗では80~100品ものパンが並びます。
人気商品について尋ねると「昔からある商品が上位に入ることが多いですね」と飯田さん。売り上げトップ3は「果肉たっぷり国産りんごのアップルパイ」「あらびきソーセージパイ(ペッパー風味)」「アーモンドペストリー」で、「特にりんごを使った商品は根強い人気があります」と教えてくれました。



創業以来さまざまな事業を展開してきましたが、現在はどのような取り組みに挑戦されているのでしょうか。飯田さんによると「より良い食の“あたりまえ”を創造し、一人ひとりの生活の質を高める」ことをパーパス(PURPOSE、理念)として掲げているとのこと。これは、パンを通して食文化を創っていく企業を目指すという、同社のミッションを表しているそうです。
そのミッションの実現に向けて、最近の神戸屋では、主に3つの挑戦に取り組んでいます。
1つ目は、焼きたてパイの専門店「PIE mania(パイマニア)」。
飯田さんによると、もともと神戸屋が運営してきた総合ベーカリーでは、種類や品揃えが多い一方で、個々の商品の魅力が埋もれてしまうこともあったといいます。そこで、人気の高いリンゴを使ったアップルパイを中心とした専門店として展開。現在、関東エリアに秋葉原・新横浜・大宮の3店舗を構えています。


2つ目は、駅構内や小規模スペースで運営するベーカリー「THE STAND by KOBEYA」です。
飯田さんによると、同店で取り扱っているのは、工場で焼き上げたパンを冷凍し、各店舗へ配送する商品が中心。工場でパンを冷凍ストックし、店舗でも冷凍状態で管理することで、配送や発注の頻度を抑えられるといいます。
さらに、店舗では状況に応じて解凍のタイミングを調整できるため、計画的な販売がしやすく、食品ロスの軽減にもつながっています。こうしたことから「THE STAND by KOBEYA」は、冷凍パンを取り扱うモデル店として位置づけられているそう。

そして3つ目は、神戸屋が新たに挑戦する新業態「ビストロ酒場 Attet 1918(アテット イチキューイチハチ)」です。コンセプト「パン屋が営むビストロ酒場」のもと、パンの販売やパンそのものの提供は行わず、長年培ってきたパンづくりと料理のノウハウを活かし、パンを素材として用いた料理を展開しています。
先月、大阪・梅田にオープンしたばかりですが、飯田さんに人気メニューを尋ねると、「いちじくとクルミのやみつきトースト」「半熟卵のモンブラン風サラダ」「岸和田漁港の釜揚げしらすのこぼれブルスケッタ」の3品を挙げてくれました。



「ビストロ酒場 Attet 1918」で提供するメニューは、基本的にここでしか食べることのできないオリジナルメニュー。デートや女子会はもちろん、カウンター席もあるため仕事帰りに一人で立ち寄ったり、ランチタイムにママ友同士で利用したりと、さまざまなシーンで楽しめそうです。

神戸屋では上記3つの取り組みに加え、冷凍パンのサブスクリプションサービス「毎月PANDA!」にも力を入れています。これは神戸屋がプラットフォームとなり、全国各地のベーカリーとお客さまをつなぐ取り組み。実際にいろいろなパン屋を食べ歩く中で「このおいしさを広めたい」と感じたベーカリーを紹介したい思いから生まれたサービスなのだそう。
神戸屋のパンは自社オンラインストアで販売しているため、あえて同サービスでは取り扱わず、ベーカリー業界全体を盛り上げることを目的としています。

さまざまな事業を展開しながら、ミッションの実現に向けた新たな取り組みにも挑戦し続ける神戸屋。しかし、「神戸屋には“一番おいしい状態でパンを食べてほしい”という強い思いがあり、現在は特に冷凍技術に注目しています」と飯田さん。
そのため、店舗でも家庭でも、食べたいタイミングでパンを一番おいしい状態で提供する方法として「冷凍」がキーワードだと考え、冷凍技術をどのような形で一般のお客さまに活用してもらえるかを研究・模索しながら、取り組みを進めています。
また、冷凍技術は環境負荷の低減や、配送頻度・廃棄ロスの削減といった社会貢献にもつながることから、今後もさらなる活用を探り、新たな可能性を広げていきたいと考えているそうです。

最後に飯田さんは「関西にお住まいの方でも、神戸屋は神戸にある会社だと思っている方が多い」と話します。神戸屋の商品そのものは広く知られている一方で、会社としての歴史や取り組み、そこに込めた思いまでは、まだ十分に伝えきれていないのではないかと感じているそう。
「これからは、関西の皆さんに向けて、神戸屋のことをより深く知っていただける情報を発信していきたい。また、食文化に役立つような情報も届けていきたい」と、強い思いを語ってくれました。

関西にお住まいの方なら、神戸屋レストランを身近に感じていたり、神戸屋のパンに親しみを持っている方も多いのではないでしょうか。そんな身近な存在だからこそ、神戸屋のこれからの新しい挑戦やサービスに、今後も注目していきたいと感じました。

| スポット名 | 株式会社神戸屋 |
| 問い合わせ | 06-6832-7100 |
| アクセス | 北大阪急行千里中央駅下車 約5分 |
| 住所 | 大阪府豊中市新千里西町1-2-2 住友商事千里ビル南館5階【MAP】 |
| URL | https://www.kobeya.co.jp/ |
ライター
あさき
もともとはWebエンジニアでしたが、2016年から地域密着ライターとして活動しています。地元スポットや関西エリアへのおでかけはもちろん、国内外問わず旅が趣味。いつもとは違う非日常の時間や、素敵な場所を見つけたときのワクワク感、そして旅先で出会った人から教えてもらうローカルネタが好きです。
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