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25.12.18
野村
大阪を拠点に関西のあちこちに出没する取材ライター。おもに京阪神エリアで取材しています。

「サ活」や「ととのう」「サ飯」などの言葉が誕生するなど、コロナ禍から数年続くサウナ・銭湯ブーム。一過性のブームではなく、今や趣味や生活の一部として浸透しているように感じるようになりました。読者のみなさんのなかにも普段からサウナやスーパー銭湯を巡っている、という方も多いのではないでしょうか。
そんな私たちの生活に身近な銭湯やサウナですが、実は大阪・豊中には、スーパー銭湯の元祖ともいえる銭湯があるのをご存知でしょうか。それが今回紹介する大阪・豊中市にある「夢の公衆浴場 五色(ごしき)」です。
「夢の公衆浴場 五色」があるのは阪急庄内駅から徒歩約15分、豊中インター近くの住宅街。大きなネオン看板と暖簾が目印で、昼夜を問わず多くの人が訪れています。

大きな暖簾をくぐり抜けて店内に入ると現れるのは、広々としたロビー。目の前には大きなベンチ型の水槽があり、中には鯉が泳いでいます。いきなり想像を超えるスケールの設備に圧倒されます。

そんな「夢の公衆浴場 五色」は昭和39(1964)年に初代・上原義正さんが「日本で一番の銭湯をつくる」と創業。60年以上にわたって近所の方々を中心に愛されてきました。近所の方たちからは「五色」の愛称で親しまれています。
現在「夢の公衆浴場 五色」を取り仕切っているのは、三代目の上原大輝さん。大学卒業後はプロ野球独立リーグ「BCリーグ」の野球選手として活躍し、引退後には二代目社長の上原誠司さんとともに銭湯経営に日々勤しんでいらっしゃいます。
「『夢の公衆浴場 五色』の創業時から変わっていないんですよ」と上原さんが話す広々とした浴室内には、「高温風呂」「低温風呂」「古代檜炭酸風呂」「ジェットバス」「電気風呂」など、11種類ものお風呂やサウナが設けられています。




これは銭湯としては最大級。銭湯のイメージを覆すその豪華さは、創業当時には大きな話題となりました。これでにない規模の銭湯を表現するため、メディアがこぞって「スーパー銭湯」という言葉で呼んだそうで、こちらが現在の「スーパー銭湯」の元祖ともいわれています。
さらに驚きなのが、24時間・365日営業というスタイル(月曜6〜11時は機械/設備点検のためクローズ)。これは創業当時から変わらず守り続けられている五色の伝統です。近隣の人たちのライフラインを守るという強い決意を感じます。
上原さんも祖父と父に習い、「いつ来てもお風呂に入れる安心感がお客さんとの信頼だと思っています。24時間・365日営業は続けていきたいですね」と決意を話してくれました。
またお風呂の充実度だけでなく、うどん店や、ドリンク・アイスが購入できる「ドリンクコーナー」が併設されている点も画期的で、「スーパー銭湯の元祖」と呼ばれる理由のひとつです。


これだけの設備を誇る五色ですが、実は分類上は「スーパー銭湯」ではなく、あくまで銭湯。
そのため入浴料は大阪府で定められた上限額で、大人1人600円(サウナは別途+200円)と、とても良心的です。
そんな同店は近隣の方の憩いの場でもあり、週に何度も訪れるという方、親子3代で通っているという方もたくさんいらっしゃるそうです。地元で愛されていることがよく分かります。
玄関を入ってすぐにある鯉が泳ぐ水槽型ベンチはもちろん、プラスチックの入浴券、うどん店、ドリンクコーナーなど、創業当時から変わらず長年大切に守られてきたものが今でも現役で活躍し続けています。

「祖父の代からずっとみなさんに愛されて来たものばかり。券売機から出てくるプラスティックの入浴券も今ではほとんど利用されていない、珍しいものになってきていると思いますが、うちでは現役で使っています」と上原さん。
筆者も子どものころに行っていた近所の銭湯ではプラスティックの入浴券が使われていて、番台のスタッフの方にそれを渡す瞬間がとても大好きだったことを思い出しました。
そんな上原さんは24時間・365日、常連さんや銭湯好きが快適に過ごせる場所として運営するだけでなく、古くからあるものを大切に使い、銭湯の魅力をより多くの人に伝えるための取り組みも積極的に行っています。
「これまではあまりメディア取材も受けてこなかったのですが、最近は取材していただいたり、SNSで発信したりと、新しいことにも挑戦しています」と上原さん。
令和7(2025)年には地元・関西のテレビ局のニュース番組内ドキュメンタリーコーナーに出演したり、有名Youtubeチャンネルに出演したり、SNSで情報発信したりと、積極的に新しいことにチャレンジされています。
その一環として、オリジナルグッズの制作にも力を入れており、ロビーにはオリジナルのTシャツ(3,800円)やパーカー(4,500円)、ステッカー(200円)などが並びます。どれもかわいらしいデザインで、訪れた記念にゲットしたくなります。


取材に訪れた日には、年末年始限定のホログラムステッカー(200円)やタオル(300円)も数量限定で販売されていました(無くなり次第終了)。


こうした取り組みもあり、最近は客層にも変化が見られるそうです。「最近では若い女性のお客さんも増えましたね」と上原さん。一人で訪れる若い女性が増えてきたそうで、1人の女性も安心して思い思いに銭湯でのリラックスタイムを楽しんでいるようです。
五色を訪れた多くの人が利用するのが、名物のうどん。こちらも創業当時から併設されているお店で、入浴後は必ずうどんを食べて帰るという人も少なくありません。

「なかには、うどんだけを食べに来る人も結構いますよ。もちろん大歓迎です」と上原さん。
うどんは1杯550〜600円とリーズナブルながら、食材へのこだわりも本格派。名物の「カレーうどん」や「肉うどん」には山形牛を使用しており、カレーうどんのカレーは独自ブレンドのカレー粉を使っているのだそうです。

注文が入ってから一杯ずつ丁寧に作られるうどんは、見た目も味もどこか懐かしく、食べるとホッとするやさしい味わい。カレーうどんはとろみがあるため、最後まで熱々で楽しめるのも魅力です。残った汁に白ごはん(150円)を入れて食べるのもおすすめですよ。

そのほか、冷たいデザートやドリンクが楽しめる「ドリンクコーナー」も併設されています。
上原さんおすすめは「シャーピット」。スムージーとかき氷を融合させたようなドリンクで、「プレーン」「メロン」「イチゴ」「ブルーハワイ」などのフレーバーから選べます。お風呂上がりにぴったりの一杯です。

いつ訪れても、変わらない温かさで迎えてくれる「夢の公衆浴場 五色」。銭湯とスーパー銭湯、それぞれの良さを同時に味わえる、まさに「夢の公衆浴場」だと感じました。
「銭湯ブームとはいいますが、年々銭湯が無くなってきているのが現状です。少しでも銭湯の減少を食い止めて、五色がもっと銭湯の業界を引っ張っていけるように、がんばりたいですね」と、今後の展望を語ってくれた上原さん。
銭湯によく行くという方も、最近は少し足が遠のいているという方も、この冬はぜひ「夢の公衆浴場 五色」でゆっくりと温まってみてはいかがでしょうか。
| スポット名 | 夢の公衆浴場 五色 |
| 営業時間 | 24時間 ※月曜6時〜11時は機械/設備点検のためクローズ(祝日の場合営業) |
| 定休日 | 無休 |
| 問い合わせ | 06-6331-4126 |
| アクセス | 阪急庄内駅下車 約15分 |
| 住所 | 大阪府豊中市庄内栄町3-24-10【MAP】 |
| URL | https://goshiki.co.jp/ https://www.instagram.com/goshiki_onsen/ |
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